AI時代に、なぜ「作文力」が重要視されるのか? 自分の価値を言語化できる子がこれからの優秀児
子どもが作文を苦手だと感じてしまう原因は、「なにかに感動する感性が磨かれていない」「物事を深く見つめ、考え、想像する力が十分育っていない」ことにあると語るのは、国語専門の教室で小学生~高校生を長年指導してきたメソッドを近著『10歳からの考える力を伸ばす 名画で学ぶ作文ドリル』に込めた久松由理氏。暗記勉強だけでは育たない、自ら問いを立てる力や、「なぜこうなるのだろう?」と深く洞察する力をどう身につけていくべきかを聞きました。 【この記事の他の画像を見る】
■書く機会は減っても、作文能力はますます重要になる 作文が苦手で、日記や感想文の宿題に毎回苦労しているというお子さん、最近すごく多いですよね。コロナ禍でタブレット学習が一般的になって、どんどん「書く」機会が減ってきているのも、作文嫌いの子を増やす要因となっているようです。また最近では、ChatGPTを使って文章を簡単に作成することができるようにもなりましたから、子どもたちの中には、もう自分で作文する必要なんてないんじゃない? と思っている子も少なくありません。
でも、それは大きな間違いです。これからは、ますます「書く力」が重要になる時代。なぜなら、これからの時代は入試でも就職試験でも、みんなと同じ能力ではなく、その子だけが持つ唯一無二の「個性」が重要視され、その価値を言語化し発信できる子が高く評価される時代だからです。 確かにAIは、データさえ入力すれば素晴らしい文章を作ってくれるでしょう。最近では、大学入試の志望理由書さえAIで生成するという人も出てきているくらいです。でも、たとえAIがどんなに素早く原稿を作成できても、その文章表現は一般的で、個人的なエピソードもなく、お子さんの個性があふれたものとはなりません。
また、AIの文章には人間ならではの深い洞察もありませんから、文章力のある人からみれば、ちょっと不自然な文章に感じます。ですから、そのまま大学や企業に提出することはできず、その文章を自力で添削する筆力が必要になるでしょう。 親の手を借りて、なんとか提出書類を自然な感じに仕上げられたとしても、試験当日に書く小論文がボロボロ、面接での会話レベルがあまりに提出書類とかけ離れていれば、生成AIの使用を疑われ、全てがダメになってしまう可能性だってあるのです。つまり、ChatGPTを使いこなすには、人工知能レベル、もしくはそれ以上の高い作文能力が身についていないと危険だということです。