「医療措置で骨折可能性」 佐賀県内の乳児暴行、二審も父親無罪 福岡高裁判決
生後5カ月の長男に暴行を加えて腕に骨折を負わせたとして傷害罪に問われた佐賀県内の20代男性被告の控訴審判決で、福岡高裁は13日、無罪とした一審佐賀地裁判決を支持し、検察側の控訴を棄却した。医療的な措置の過程で骨折が生じた可能性が否定できないとの一審判決の判断を「不合理とはいえない」として追認した。 自宅の寝室で男性と長男が2人でいた場面以外に骨折が生じる可能性がなかったかが争点になった。一審判決では、長男が救急外来を受診した際、研修医の過度な整復作業で骨折を生じさせた可能性などを示した上で「暴行を加えたことにつき、合理的疑いを超える立証がなされたとの評価は困難」と判断した。 控訴審の判決理由で松藤和博裁判長は、長男が寝返りに失敗して発症した肘内障(亜脱臼)が自然に治ったとみる余地があることを指摘した。また、「医師の証言には疑問点があり、肘内障の過度な整復作業をしてしまった可能性が否定できない」としつつ、検察側の「(一審判決は)医師が不当な医療行為を隠すために偽証の疑いがあると想像に基づいて判断している」との主張を退けた。 男性は2021年6月、県内の自宅で長男に暴行を加えて骨折させた疑いで県警が同8月に逮捕していた。男性は逮捕時から容疑を否認していた。 判決を受け、弁護人は「男性は2年半にわたり被告としての立場に置かれている。上告をせず一日も早く(無罪を)確定させてほしい」と述べた。(取材班)
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