【証言】ガザでの戦闘開始から1年「また明日」「生きていればね」福岡市出身の医師が見た現地の今
FBS福岡放送
中東パレスチナ自治区のガザで、イスラエル軍とイスラム組織ハマスの戦闘が始まって1年がたちました。この間の死者が4万人を超えたガザで、赤十字の一員として医療活動を行い帰国した福岡市出身の医師がいます。
福岡からおよそ9000キロ離れたガザで、イスラエル軍とハマスの大規模な戦闘が始まって7日で1年になりました。この1年間に、ガザではおよそ4万2000人が亡くなりました。
9月まで、そのガザで赤十字の一員として医療活動にあたっていたのが、福岡市東区出身の安藤恒平医師(46)です。 ■赤十字国際委員会・安藤恒平医師 「多くの爆音であったり、戦闘機のようなものが上を飛んで何かを発射したりですね、そう遠くもないところでパンパンという音とともに何か光るものが飛び交ったりといったことがあるのですが、不慮の事故さえなければ大丈夫かなと思えるような環境です。」
安藤医師は2023年12月以降、4回にわたってガザに入りました。イスラエル軍の侵攻で多くのパレスチナ人が避難しているガザ南部の都市、ハンユニスやラファでケガ人の治療にあたってきました。9月に帰国してからは、高校生向けの特別授業でガザの状況を積極的に伝えています。
安藤医師はガザに暮らす人々について、食料・水・医療物資が不足している現状や長引く避難生活によって変化してきていると言います。 ■安藤医師 「現地の人たちはもう大変疲れている。12月ごろに比べたら徐々に皆さん疲れているなとすごく感じる。水だって自由に手に入るわけじゃなく、欲しい時は大きな灯油缶みたいなものを持って長蛇の列に並ばないといけない。」 そして人々は、前を向いて生きる希望さえも奪われていると感じています。 ■安藤医師 「現地の人たちは、明日がどうなるか分からない、そんな生活をずっと続けることは本当に大変だと思う。よく現地スタッフと話をします。仕事終わりには『また今度』『また明日』とか『また数日後』と話をすると『うん、それは生きていればね』と言いますもんね、彼らも。」
現地では犠牲者の追悼集会が開かれました。しかし、イスラエル、ハマスの双方は戦闘を続ける意思を表明しています。 安藤医師は、遠く離れた場所の出来事として傍観するのではなく、今、何が起きているのかを知ろうとすることがまずは大事だと訴えています。 ※FBS福岡放送めんたいワイド2024年10月8日午後5時すぎ放送