子どもの「近視」の治療法を医師が解説! 放置のリスクや予防法もご紹介
近年、子どもの近視が増加しているという報告があります。近視は子どもの学力や集中力などにも悪影響を与える可能性があるため、その原因や対策について理解することが重要です。今回は、子どもの近視の進行速度や日常生活での予防法などについて、「片桐眼科クリニック」の片桐先生に解説していただきました。 [この記事は、Medical DOC医療アドバイザーにより医療情報の信憑性について確認後に公開しております]
近視の原因・症状を医師が解説 子どもに多いのはなぜ?
編集部: 近視・遠視・乱視の特徴を教えてください。 片桐先生: 遠くは見づらくても、近くは見ることができるのが近視です。ある程度進み、生活に不自由をきたしたら眼鏡が必要となりますが、子どもの場合は目薬で回復することもあります。反対に遠視は、遠くは見えますが、近くは見えません。近くを見るときは、目はかなり無理をしています。乱視は、遠くも近くも、距離に関わらずぼやけます。 編集部: 近視の原因はなんですか? 片桐先生: 私たちの目は、角膜と水晶体で目の中に入る光を調節し、網膜上に焦点を合わせます。正常な場合は、網膜上に焦点を合わせることで鮮明な像として見ることができます。しかし、眼球の奥行きが長くなってしまうと、網膜自体が後ろにずれてしまうので、網膜に焦点が合わずに手前にピントが合ってしまい、見たいものに焦点を合わせることができません。これが近視です。 編集部: 近視は悪いことなのでしょうか? 片桐先生: 近視が進行すると、「視力が落ちた」「目が悪くなった」と感じる人がほとんどだと思います。とてもネガティブなイメージでとらえられがちですが、実はそうとも限りません。現代の日常生活では、携帯、テレビ、パソコンなど、近くを見ることの方が圧倒的に多いのです。生活に支障がなく、検査で多少の近視を指摘されても、必ずしも悪い事ばかりではないのです。
近視の治療法 放置するとどんなリスクがある?
編集部: では、近視を指摘されても問題ないのでしょうか? 片桐先生: 近視がある程度以上進み、生活に不自由をきたしたら眼鏡が必要になるので、その必要度を確認するために、一度は受診していただきたいと思います。また、近視が極端に進むと網膜剥離や黄斑変性、緑内障などの発症リスクが高くなるため、注意が必要です。 編集部: 視力を良くする方法はあるのでしょうか? 片桐先生: 「視力回復トレーニング」や「視力が良くなる本」なるものがありますが、その効果は医学的に証明されていません。視力低下の原因が、目の過度な緊張による「仮性近視」という状態であれば、目薬で改善することもあります。 編集部: ほかには、どのような治療法がありますか? 片桐先生: 「オルソケラトロジー」や「ナイトレンズ」と呼ばれる近視矯正のコンタクトレンズがあります。特殊な形状のハードコンタクトレンズを就寝中に装用することにより、黒目の角膜の形状を変化させます。起床後、レンズを外しても裸眼の視力が良い状態に保つことができる矯正法で、近視の進行を抑える効果が期待されています。 自費診療となりますが、日本眼科学会のガイドラインで、適応が小児にも拡大(慎重投与)されました。 編集部: オルソケラトロジーの治療は、どんな人に向いていますか? 片桐先生: 「眼鏡やコンタクトレンズが煩わしい」「裸眼でスポーツを楽しみたい」などに当てはまる方には、非常におすすめです。