38歳の丹羽大輝、スペイン4部でプレーする日々に「今日もサッカーができる。その事実に、自然と心が踊る」
ベテランプレーヤーの矜持~彼らが「現役」にこだわるワケ第1回:丹羽大輝(アレナス・クルブ・デ・ゲチョ/スペイン4部)/後編 【画像】サッカー熱上昇中の局アナ「フォトギャラリー」 ◆前編/丹羽大輝、当時34歳 コロナ禍で下した決断>> スペインでの実質3シーズン目、スペイン4部のアレナス・クルブ・デ・ゲチョで戦いを続けている丹羽大輝だが、コンディションは「自分でも怖いくらい、いい」と胸を張る。 それは、今シーズンのプレーを見ても明らかだ。ここまでアレナスが戦った公式戦31試合のうち、29試合に出場して2得点。2475分という出場時間は、所属選手のなかで最長を誇る。その要因が、彼の言葉にある「一周まわってフレッシュに......」に隠されている気がして、掘り下げて尋ねてみる。 「年齢を重ねると、チーム内での立場やベテランとしての役割を意識する選手も多いけど、僕はこの年齢だからこそ、逆を取るというか。たとえば、ウォーミングアップで4対2のボール回しをするとなると、若い選手から鬼に入るし、練習のセッションごとの移動も若い選手が一番遠い場所、奥に行くことが多いと思うんです。 でも、僕は率先して鬼から入るし、移動の時は一番奥に走ります(笑)。ふたりひと組でキックの練習をする時も年齢の近い同じ相棒とボールを蹴るのではなく、必ず毎日、組む相手を変えています。そのほうが、いろんな癖のボールを受けられるから。 プレーも同じで、守備ひとつとっても、経験値が増えるほど自分が走らずに周りに走らせるなど、ラクすることを覚えるんですけど、僕は周りを使う効果も理解したうえで、あえて自分が走りにいく。ピッチ外でもそれは同じで、チームバスで移動するときも、若い選手に荷物を運んでもらうのではなく、自分が最初にバスを降りて、一番重い荷物を運んでいます(笑)」 面白いもので、そんなふうに17~18歳頃のような行動を心掛けるようになるにつれ、自身がどんどんアップデートされていくのを実感しているという。 「FC東京での終盤頃から、若い選手とプレーすることが増えていたなかで、どことなくベテランという言葉に自分自身が騙されているんじゃないか、と思っていたんです。その考えがスペインに来て、より明確になりました。 そうやって、若い選手の時のような感覚ですべてに向き合っていると、脳も騙されるのか、体がどんどん動くようになるんです。今シーズンは本職のセンターバックだけではなく、サイドバックやボランチをすることもありますが、プロ1、2年目の時のように、試合に出られるのなら『どこでもウエルカム!』と思って向き合っています」