ギリシャ中銀総裁、関税引き上げは「やめておけ」-米次期政権に警告
(ブルームバーグ): 欧州中央銀行(ECB)政策委員会メンバーのストゥルナラス・ギリシャ中銀総裁は18日、米国が高い関税を課せば、欧州の経済活動は弱まるだろうとの見通しを示した。ブルームバーグが主催したアテネでの「ギリシャ金融の未来に関するシンポジウム」で語った。
ストゥルナラス氏は「もし米国の友人たちに助言できることがあるとすれば、『やめておけ』ということだ」と述べ、いかなる関税も中期的には不況とデフレにつながる可能性があると指摘した。
同じイベントに登場したギリシャのミツォタキス首相は、米国との貿易戦争が欧州連合(EU)に与える損害について警鐘を鳴らし、米国のトランプ次期政権となんらかの合意は可能との考えを語った。
ミツォタキス氏は「私は自由貿易の支持者であり、関税は最終的には正味でプラスの影響をもたらさないと信じているため、関税について懸念している」と述べ、米国と欧州の貿易戦争は、互いの利益にならないと強調した。
トランプ氏は、中国製品に60%、その他の国々からの輸入品には10~20%の関税を課すとしており、欧州各国は懸念を強めている。トランプ氏は一期目の任期中、欧州産の鉄鋼、アルミニウムに追加関税をかけ、EUも米国の政治的に敏感な企業を標的に独自の関税を課すなど、報復措置の応酬になった。
ブルームバーグは先月、EUがトランプ次期政権の関税引き上げに備え、すでに報復関税の対象とする米国製品のリストを用意していると報じた。EUはあくまで米国に対する報復措置としてのみ、関税を発動する方針だ。
トランプ政権一期目を経験したEU内で数少ない指導者の一人であるミツォタキス氏は、EUが域内共通の通商政策を定めていることも強調し、「EUは全体として交渉している。2国間協定を結ぶ余地はない」と述べた。
原題:ECB’s Stournaras Warns Trump Tariffs Could Lead to Recession(抜粋)
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Francine Lacqua, Sotiris Nikas, Paul Tugwell