旧優生保護法訴訟、最高裁の違憲判決を受け最初の和解成立 一刻も早く救済制度の確立を
原告39人中6人が他界
この日原告らがくり返し強く訴えたのは、国が確約した和解による補償を「一刻も早く」「早急に」進めてほしい、ということだった。すでに原告39人のうち、6人の原告が亡くなっており、前出の西スミ子さんも体調不良のため首相面談当日は現地出席がかなわなかった。今回の和解は西さんの体調も鑑み、弁護団が優先的に国と協議を重ねて成立に繋げたという。 8月2日には、小泉龍司法務大臣に対し、原告団、弁護団らが旧優生保護法被害者への謝罪と速やかな全面解決を求める要請書を提出。政府・国会による謝罪と決意表明、本件全被害者への一刻も早い賠償・補償の実施、そして再発防止のための徹底した検証と恒久対策の実施を訴えた。小泉大臣は「皆様の筆舌に尽くしがたい経験に痛切な思いを抱いた」と述べ「真摯に反省し心から謝罪を申し上げる」と頭を下げ、その後原告一人ひとりと向き合い、謝罪をした。 その後の集会で、弁護団の関哉直人弁護士は、他の原告らに対しても一日も早く同等条件で和解できるよう国との基本合意を目指すと発言。被害を補償するための補償法、差別や偏見に取り組むための基本法を作る必要性を指摘。補償法については「配偶者の慰謝料や、優生保護法下で人工妊娠中絶を受けた人などについても補償の対象として盛り込んでいくことが重要」と述べた。 18年に最初の原告として裁判を起こした飯塚淳子さん(仮名)は、「謝罪してもらってよかった。一日も早い解決を願っています」と安堵の表情を見せていた。 被害者救済はようやく大きく動き出している。国は明確に非を認めて謝罪した以上、一刻も早い和解締結に全力を尽くしてほしい。
岩崎眞美子・ライター