阪神淡路大震災20年 ── 神戸、震災を伝える場所を訪れる人多く
阪神淡路大震災から20年となった17日、神戸市内は早朝などに雨がふったものの、日中は時折晴れ間も見えた。神戸地方気象台によると、同日の最適気温は5.1度を観測。午前11時までに最高気温は8.7度を観測した。そんな天気のもと、同市内では早朝から同市中央区の東遊園地で「1.17のつどい」などが行われ、同震災によって崩壊した場所がそのまま保存されたものを見学する人の姿も多く見られた。
震災知らない中学生 ── 1.17を機に街をめぐる
同市中央区、ポートタワーがそばに見える神戸港メリケン波止場では、震災で崩壊した港の姿を一部そのまま残した「神戸港震災メモリアルパーク」に多くの見学者が訪れていた。 港のためだれでも見学することができるが、地面がわれて、いつも歩いていた場所が海につかり、レトロさが特徴だった街灯も倒れかかったままの姿をしている。 同港は約2年後に全面復旧したが、同波止場の被災部分約60メートルをそのままの形で保存した。見学しやすいようにと、その部分は囲われ見やすくなっており「神戸港震災メモリアルパーク」として残されている。 この場所を管轄する神戸海洋博物館の職員によると、被災状況や復旧の過程を忘れないために作られたという。同港がどのような形で被災・復興したかを定点観測したパネルなども展示されている。 この場所を撮っていると「震災メモリアルパークってどこですか」と、地元の神戸市立の中学校生徒が尋ねてきた。きょうが震災から20年ということで、付近をグループで歩いているという。しかし、聞いている場所が目的地ということを知らなかったらしく、同市内の住民の4割が同震災を知らないという現状を表すような光景だった。だが、「きょういろいろ回って覚えていく」と噺、同パークを後にした。
鉄骨むき出しの高速道路橋脚を歩道に展示
同市中央区にある、阪神高速京橋ランプ付近の国道2号線には、、鉄骨がむき出しになった橋脚が展示されている。 これは展示スペースそばで震災被害を受けた「2号浜手バイパス」の橋脚。橋の継ぎ目に使用された伸縮装置もグニャっと曲がった状態で展示されており、いかにこの震災の破壊力がすさまじいものだったかを物語っている。 兵庫県国道事務所がこれらを管理。同事務所によると、被災の姿を残し防災意識を高めるため展示されているという。同職員によると、通常では「ありえない形」で崩壊したもののため、残して展示することにより、防災意識を高めてもらえるのではと説明している。
「そのまま」の形のものを残していってほしい
阪神淡路大震災発生から20年。神戸の街は建物も建てかえられているケースが多いため、こうしたものを見かけることも少なくなった。しかし、同震災がどれだけ恐ろしい都市型災害であったかを物語るこれらの保存施設は、震災を伝承するためには不可欠なものかもしれない。 同日早朝に「1.17のつどい」に参加し、何気に見に来たという京都府内の女性は「人と防災未来センターなどへ行けば資料はあるかもしれないが『そのまま』の形で残っているのは、次世代へ伝える貴重な証拠になるのでは。大事にしていってほしい」などと話していた。