【阪神】佐藤輝明、藤川監督から「テル!姿勢を見せよう」1人名指しで激励に「背中で見せます」
背中で見せる! 阪神佐藤輝明内野手(25)が藤川球児新監督(44)からいきなり剛速球の激励を受けた。22日、甲子園で秋季練習が始まり、「船出」となった藤川監督が選手、スタッフを集めてミーティング。佐藤輝にはただ1人、突然の名指しで「テル、姿勢を見せていこう」と伝えた。背番号8も真っ向から思いを受け止めた。新体制のカギを握る主砲と、新監督の思いが交わり、熱量のあふれる初日となった。 ◇ ◇ ◇ クラブハウスの一室。誰もが藤川監督の第一声を聞き逃すまいと、緊張感が走っていた。突然、監督が「テル!」と声を上げた。「しっかり、姿勢を見せていこう」。個人名を呼ばれたのは1人だけ。不意打ちのニックネーム。佐藤輝は驚き、背筋を伸ばした。 球団史上初の、1年目から4年連続の2桁本塁打&100安打。常に大きな期待を受けて、成功も失敗も重ねながら歩みを進めてきた。それでも、まだ足りない。成績だけではない。来年5年目を迎え、チームの中心になっていかないといけない。監督が“剛速球”を投げてきた意味を、佐藤輝も理解していた。 「しっかりと姿勢を見せていけと言われたので。背中を見せていきます」。そう宣言し、期待を感じるかと聞かれると「そうですね」と真剣な顔で答えた。 過去3度の「秋」は故障や代表招集で、1度も腰を据えて取り組むことはできなかった。今年は11月1~17日までの高知・安芸キャンプにも参加予定。「しっかり課題を意識しながらやっています。課題はもう、いろいろあります」。シートノックは三塁の位置で受けた。フリー打撃では監督がじっと見つめる中、強いスイングを繰り返した。 藤川監督は精力的だった。グラウンドではほぼ全員のコーチ陣やスタッフと会話を交わした。不振に終わった伊藤将や、侍ジャパンに初招集された才木らには投手コーチを伴い、激励した上で情報共有を図った。ノックが始まると内野の黒土に足を踏み入れ、前1軍ヘッドコーチの平田2軍監督と肩を並べて、2人だけでじっくりと話した。 藤川カラーが鮮明に出た初日だった。岡田前監督は選手と直接会話することは基本的になかった。佐藤輝も久しぶりの感覚に身を引き締めた。「みんなで意見を出しながらできるかなと思います」。成長するには何かを変えないといけない。新しいチャレンジの日々が始まった。【柏原誠】 ◆藤川監督の26歳シーズン 05年に80試合登板するなど急成長を見せた藤川は、26歳となった06年にその立場を確かなものにした。チーム最多の63試合に投げ、35ホールドポイントで2年連続の最優秀中継ぎ投手に。防御率は0・68という驚異的な数字をはじき出した。故障した久保田に代わり、後半にクローザーに転向。セーブも17を数え、後に抑えで一時代を築く足掛かりを築いた。来年に満26歳を迎える佐藤輝も、後に続きたい。