サイレン&赤色灯で現場へ急行……に憧れるが道のりは険しい! 警察官なら誰でもパトカーの運転ができるワケじゃなかった
パトカーには誰でも乗れるわけじゃない!?
軽自動車やコンパクトカーのパトカー、いわゆるミニパトを別として、クラウンなどの排気量の大きいセダンのパトカーには、交通取り締まりをメインにしている交通機動隊や所轄署交通課のパトカーのほかに、各警察署管内をパトロール(警ら)し、不審人物や不審車両に乗った人物へ職務質問したり、110番通報を受けて事件現場に急行して初動措置・初動捜査を担当する、自動車警ら隊のパトカーがある。 【画像】覆面パトカーを見破るための方法 前者の交通機動隊の隊員などは、いわゆる運転のプロとして、定期的にトレーニングを行い、一定以上のドライビングスキルをもっていることは想像に難くはないが、後者の自動車警ら隊=略称、「自ら隊」の運転レベルはどうなのか? 結論からいうと、彼らもまた選ばれた精鋭で、「運転のプロ」といっていい。 というのも、まずパトカーの乗員になるのに、大きな壁があるからだ。 パトカーの乗員になるには、まず警察官の採用試験に合格して、警察官にならなければならない。警察官に採用されても、すぐにパトカーの乗員になれるわけではなく、5~10年の実務経験が必要とのこと。 そして、運転スキルに関しては、警察内部で行われる運転技能格付け制度「格付け検定」あるいは「技能検定」という運転技能の資格を取得しなければならない。 この格付けはA~Dまで四段階あり、最上位のA判定を取得してからでないと、赤色灯をまわし、サイレンを鳴らして、緊急走行することはできないことになっている。 このA判定を取得するには「パトカー乗務員養成専科」(約10日間)研修を受けて、格付け検定を受験するか、直接、検定合格を目指すしかないのだが、この審査、なかなか厳しいと評判だ。
審査基準は以下のようになっている。
・交通関係法規、自動車の構造、装置に関する学科で80点以上 ・運転操作能力、交通法規の履行能力、安全運転に必要な能力など、技能が80点以上 ・整備、点検、調整等が、80点以上 ・心理適性検査が5段階評価で3以上 気になる運転技量に関しては、スラロームや狭路での取りまわし、急ブレーキ、交差点通過時の安全確認、etcといった項目があり、受験希望者は、閉庁後の免許センターや所轄の警察署内練習コース、あるいは一般の自動車教習所を借りて、ベテランのパトカー隊員から選ばれた技能指導官から特訓を受けることになっている。 そのうえで、自動車警ら隊は都道府県警察の本部所属になるので、各警察署から推薦されるのが基本。 これらの厳しい条件をクリアして初めて自動車警ら隊の一員になれるので、「パトカーのプロ」としての誇りは高く、定期的な研修も行っており、ドライビングスキルの向上も怠ってはいないので、交通機動隊、自動車警ら隊を問わず、パトカー隊員の運転技量はひとかどのものがあると心得ておいて間違いない。
藤田竜太