9月に失速してしまったチームのファンは、どのような心持ちで日々を過ごすべきか~オギリマサホのゆるっとカープ論~
思わず心を奪われる! カープの話題をゆる~くまったりと展開してくれる“オギリマワールド”。関東出身ながら中学生からカープファン。独自のタッチで描かれるイラストを交えたコラムでおなじみのオギリマサホが、新たなカープの魅力を切り取る。 【写真】カープファンの心持ちをイラストで表現(イラスト・オギリマサホ) 今回は、9月のチーム状況と、自身の心境を、オギリマ視点でゆる~く取り上げる。 ◆新たな発見は「試合を見ていなければ出会うことができない」 これは一体どうしたことだろう。 先月の当コラムでは、「8月末時点で“いい順位”につけているチームのファン」について書いた。持って回った表現をしたのは、過去の経験に基づいて慎重にならざるを得なかったからだ。それでも心のどこかで私は「来月のコラムでは優勝について書いているのかな~」などと、呑気に考えていたことは否めない。 8月31日時点でカープは、2位・巨人に0.5ゲーム差をつけて首位にいた。これまで、カープは8月31日時点で首位だった場合、必ず優勝しており(1975、1979、1980、2016、2017、2018年の計6回)、ゲーム差は少ないものの「まあ大丈夫だろう」と思ってしまったのだった。 ところが、である。9月に入ると雲行きが怪しくなってきた。横浜でのDeNA戦3連敗、続くマツダ スタジアムでの中日戦負け越し。それでもまだ「ビジターだし」「今年苦手にしている中日だし」と悠長に構えていた。巨人ファンの友人と、冗談交じりにメールをやり取りする余裕もあった。ちなみにこの友人とのメールは、9月10日を最後に途絶えている。 その後の状況はご存じの通りである。大型連敗とまでは言えないような連敗を繰り返し、9月26日現在までの月間成績は4勝18敗。優勝、自力CS出場の可能性もなくなり、現在の順位は4位。試合を見れば、選手も首脳陣も頑張っている。頑張っているのはわかるのだが、勝てない。一体どうしてしまったのだろう。 『ドラえもん』で、しずかちゃんが「よろこばせといてがっかりさせるのはかわいそうよ。それより、びっくりさせといてあとでほっとさせるほうが親切だわ」(「ハリ千本ノマス」)と言っていたのを何となく思い出していた。つとめて平静を保とうとし、一試合一試合を応援しよう、と心がけていたとはいえ、やはり私も「喜んで、後でがっかりしてしまった」かわいそうな人の一人なのであった。 つらい気持ちにフタをすべく、私は逃避に走った。「この歴史的失速に名前を付けるとしたら何が良いか」などと考えてみたり、ドラム練習に打ち込んでみたり、飼い猫を必要以上に撫でまわしてみたり。東京在住の私は、自ら進んでカープの情報を取りにいかなければ、ほぼカープに触れずに過ごすことができる。 そうしてカープに関する情報を遮断してみたものの、やはり寂しさが残る。また『ドラえもん』からの引用になるが、のび太の有名なセリフに「ほんとのファンなら、落ち目の時にこそおうえんしなくちゃ」(「宇宙ターザン」)というものがある。「落ち目の時にこそ応援」というより、むしろ自分が「どんな時も応援せざるを得ない」人間になってしまっていることに気付かされたのだった。 負けが続く状況の中にも、田村俊介ら若手の活躍や、秋山翔吾の頑張りなど、見るべきところはたくさんある。こうした場面は、やはり試合を見ていなければ出会うことができない。残り試合、やはり一試合一試合を応援していくよりほかはないと、改めて思い知らされる9月なのであった。
オギリマサホ