低用量ピルを使ってみたいけれど、どんなことに気をつけたらいいですか?【高尾美穂先生のお悩み処方箋】|Mart
生理痛が辛い、生理の日程をずらしたいなどの理由で「低用量ピルを使ってみたい!」と思う一方、使うことで体にどんな変化が起こるの?と不安がある人も多いのではないでしょうか。そこで、相談者の心に寄り添った優しいアドバイスが人気の産婦人科医・高尾美穂先生に、詳しく教えていただきました!
悩める女性の心を軽くしてくれる!高尾美穂先生
【高尾美穂先生】 産婦人科専門医・婦人科スポーツドクター・ ヨガ講師。産婦人科専門医として、女性の健 康をサポートしつつ、それぞれのライフステージ・ライフスタイルに合った治療を提案する一方、スポーツドクターとして、女性のプロアスリートへのサポートも行っています。雑誌やテレビほかさまざまなメディアでも、女性のお悩みへの優しいアドバイスが好評です。
低用量ピルを始めるなら早めがおすすめ
Mさん:昔から生理痛がひどく、低用量ピルを飲むと辛さが軽減すると聞いて興味があります。でも体にどんなことが起こるのか気になっていて……。また、生理痛がひどいという理由だけで婦人科に行くのは抵抗があるのですが、問題ないのでしょうか? 高尾先生:もちろん大丈夫ですよ。低用量ピルは、女性ホルモンであるエストロゲンと黄体ホルモンを合わせてできたもの。排卵抑制効果と、子宮内膜の増殖抑制効果があります。 Mさん:そうなんですね。 高尾先生:ピルを飲むことで、月経困難症や過多月経の症状を緩和したり、生理不順の人は月経周期が規則正しくなったりするほか、子宮内膜症の症状を緩和することも。一度婦人科を受診して、自分が辛いこと、改善したいことを相談してみてくださいね。 M:服用からどれくらいの期間で効果が出るのでしょうか? 高尾先生:ピルは生理開始~5日目までに飲み始めますが、生理痛などは次の生理のときから軽くなると思いますよ。避妊効果は服用してすぐ効果がありますが、服用をやめれば次の周期からすぐに妊娠できる状態に戻ります。 Mさん:副作用にはどんなものがありますか? 高尾先生:まず、低用量ピルでよく知られている副作用としては、血栓症が発症するリスクがあります。ピルに含まれているエストロゲンは凝固機能に影響を及ぼすため、血液中にできた血栓が血管を閉塞する血栓症を引き起こしやすくなります。ピルを服用していない人の血栓症リスクは1万人に1~5人なのに対して、ピルを服用していない人の血栓症リスクは1万人に3~9人とわずかに上がります。 Mさん:低用量ピルを服用した場合、血栓症予防のために日常生活でどんなことに気をつけたらいいですか? 高尾先生:喫煙をしない、肥満や高血圧を防ぐ生活を心がけることだと思います。 Mさん:血栓症以外にも副作用はありますか? 高尾先生:胸の張りや吐き気などが起こる人もいます。食欲増加、体重増加が起こる場合もありますが、2-3か月でおさまっていく方が多いです。ご自身が辛くないと感じる程度であれば、医師と相談し様子を見ながら服用を続けてもいいかもしれません。ただ血栓症が起きてしまうともう服用できないので、その点は気をつける必要があります。 Mさん:服用するとしたら、はじめどきはありますか? 高尾先生:Mさんは現在何歳ですか? Mさん:38歳です。 高尾先生:30代であれば、少しでも早めに服用を始めるのがおすすめですね。 Mさん:なぜ少しでも早く、なんですか? 高尾先生:低用量ピル内服における血栓症は、年齢が上がるごとに徐々にリスクが高くなっていきます。また、服用開始から1~3カ月がいちばん副作用が出やすい時期です。始めるのであればい若いうちから始めるのがおすすめです。 Mさん:なるほど。それで、始めるならば少しでも早いほうがいいのですね。ピルは保険が適用になりますか? 高尾先生:月経困難症や子宮内膜症の疼痛に対しては、保険適用になりますが、PMSや生理予定日をずらしたい場合は保険適用外で自費になります。