レンジャーズ内紛 ダルビッシュの選手寿命を左右
ダニエルズは孤立を避けれるか
地元記者にリークしたのは、ライアンではないかと見られている。 ダニエルズはライアンの怖さを久々に思い知らされたか。ライアンはかつて、2010年にチームを買収したとき、共同出資者として大きな役割を担ったチャック・グリーンバーグ氏でさえ、追い出したとされている。グリーンバーグ氏がCEOに就任して、わずか7ヶ月後のことだった。ライアンに睨まれたら、ここまでチームを育てた功労者のダニエルズとて、孤立は避けられるかどうか。 いや、もうしてしまったかもしれない。
思うような補強ができなかった
地元メディアは今、ワシントン監督よりもむしろ、ダニエルズに非を向けている。残念ながらダニエルズは今年、その材料を与えてしまった。 昨年のオフは、パワーヒッターのジョシュ・ハミルトン、マイク・ナポリの移籍を許したにもかかわらず、彼らの代わりを補強できなかった。 7月には、カブスのエースだったマット・ガーザをトレードで獲得したものの、全くの期待外れ。かつては、走攻守そろった選手と言われたアレックス・リオスをやはりトレードで獲得したが、彼もまた、特別な働きは出来なかった。 さらに、今年のオールスターにも選ばれたネルソン・クルーズが禁止薬物の使用で出場停止を受けたとき、アレックス・ロドリゲスのようにアピールし、シーズンの最後までプレーするようにアドバイスしなかった非も負わされている。シーズン終盤の失速は、打線が原因。もしもクルーズがいれば、というのだ。 この程度で解雇されたら、ゼネラルマネージャーの首などいくつあっても足りないが、背後で、もしもライアンが地元メディアを焚き付けているのだとしたら、ダニエルズには極めて分が悪い。
ダルビッシュの選手生命にも影響
この内紛そのものは、ダルビッシュ有にとっても対岸の火事ではない。 もしも、ライアンが力を維持し続ければ、彼は投手に110球、120球を投げるよう命じるタイプ。「俺たちの時代に出来ていたことが、今の時代に出来ないはずがない」との立場だからだ。現場介入してくるだろうし、ダルビッシュは、また過去2シーズンと同じように、ある程度の球数をこれからも投げなければならないだろう。 一方のダニエルズは、投資に対するリスクを最小限に抑えたいタイプ。 今年5月、ダルビッシュが130球を投げたことがあるが、このときは試合後、ダニエルズがワシントン監督の部屋に直行し、説明を求めている。 100球で投手を交代させることがベストかどうかは議論が別れるところだが、ダニエルズの力がライアンを上回れば、ダルビッシュが今後、120球を投げることはなくなると想像できる。一方、ライアンがとどまるなら、ダルビッシュは100球を越えてもマウンドに立ち続けることになる。 ダニエルズかライアンか。 チーム内の権力闘争の結末は、今後のダルビッシュの選手寿命を左右しかねない問題なのである。現在、ダニエルズの去就は、ゼネラルマネージャーを探しているチームからおおいに注目されている。 (文責・丹羽政善/米国在住スポーツライター)