市村正親、“好き”を追い求め続ける俳優人生51年目 未知との出会いに期待を込めた「生涯現役」宣言
俳優の市村正親(75)が、桐谷健太(44)主演のフジテレビ系連続ドラマ『院内警察』(毎週金曜 後9:00)の取材会に参加。「今までにやったことがない」という本作の役どころ、そして自身の俳優としての今後についても思いを明かした。 【画像】『院内警察』第5話の場面カットが盛りだくさん! 同作は2021年より青年漫画誌・ヤングチャンピオン(秋田書店)で連載中の『院内警察 アスクレピオスの蛇』を原作とした医療エンターテインメント。日本ではまだなじみの薄い“院内交番”を舞台に、元警視庁捜査一課刑事の主人公と天才外科医の“正義”がぶつかり合う、“刑事モノ×医療モノ”という2大王道ジャンルのハイブリッド作品となっている。 市村は、桐谷と長濱ねる(25)の上司にあたる、院内交番室長・横堀仁一を演じているが、撮影現場の雰囲気を聞かれると、「病院の裏話みたいな部分が描かれた作品ですが、僕が担当するのは、例えば女の子がティッシュペーパーを拾っただとか、そういう事件…にもならないようなものばかり。だから、非常に気が楽ですよ」とにっこり。 「これまでは結構ハードな役が多かったんですが、今回はそういった雰囲気をすべて消して、『きょうもいい天気だなぁ。明日もいい天気だといいなぁ』とか、『あ、茶柱が立っているなぁ』と言っているような人」と説明した上で、「そこにいるだけでいい…みたいな役なので、本当にこんな楽な仕事をしていていいんだろうかと思うくらいです(笑)」とある種の“不安”も口にした。 演じる上でも意外なところに苦労があったようで、「普段のような役柄だと、あんまりこういう声を使わないんですよ。原作の漫画を読んでも音はないわけですから、横堀の雰囲気をもとに声のトーンから作っていきました」と明かす。「年齢的には近いわけですから、エネルギーを出さなくていいんだという考え方に行き着いた」とし、「頑張っちゃうと違う役になっちゃうので、いかに力を抜くかが重要になってくる」と語った。 長濱が演じる川本響子は、仕事にやりがいを求めつつも、病院内で「軽薄で、空気の読めない、給料泥棒」を意味する“3K交番”とやゆされている部署に配属されてしまう。このストーリーにちなみ、記者からは市村自身の仕事観への質問も投げかけられた。 市村は「一番大事なのは、やっぱり自分の好きな仕事を見つけること」と言い、「どんな職業でも、自分が好きでなった職業ならば、どんなことがあっても耐えられると思うんです。お金を稼ぐことを目的にしてしまうと、組織がイヤになってしまうこともありますよね。でも、好きなものを選んでいると、我慢もできる」と持論を明かした。 続けて「趣味の延長が仕事になってくることもあると思う」としつつ、自身も「家の目の前が映画館だったことや、鍵っ子だったから部屋でよくテレビドラマを見ていたことが下地としてあり、高校在学中にある芝居を見たときに、『こういう激しい人生を生きることを生業にできる俳優という職業はいいな』と思った」という。 その後、西村晃さんの付き人時代や下積み期、劇団四季でのデビューなども回顧しながら、「好きなことをやっていたら楽しいじゃないですか。で、それをどんどんやってくうちに、規模が大きくなっていったりもして、もっと一生懸命になっていく。それもまた楽しく思えるんです」と伝える。 好きなことを突き詰めてきた俳優人生。73年のデビューから芸能生活50年を迎えた現在もその姿勢は変わらず、この日の取材でも「生涯現役」を目標に掲げた。そのために「健康に注意しなきゃいけない」と気を引き締めつつ、「今回の『院内警察』みたいに、いろいろなバリエーションの役が来るようになってきてうれしい」と笑顔を見せる。 「またこれからどんどんいろいろな役と出会っていけるんだなと思うと、それはそれは楽しいなと思うんです。演じる楽しみっていうのかな。続けていればいろいろな監督さんとも出会えるし、いろいろな俳優さんとも出会えるし、いろんな作品と出会える。だから、今後もそういうスタンスを貫いて、生涯現役でやれたらいいかなと思っています」と、市村らしい力強い目つきと、横堀仁一らしい柔らかな口調で言葉を紡いだ。 桐谷演じる武良井治は、元警視庁捜査1課のエリートだったが、上司の院内交番室長・横堀仁一(市村)、事務員の川本響子(長濱)とともに、病院内に設置された院内交番に所属し、日々患者同士のトラブル解決や遺失物捜索に従事していた。そんな中、若き天才外科医、榊原俊介(瀬戸康史)がドイツから帰国。武良井は榊原に執拗(しつよう)に絡んでいく。警視庁捜査一課というエリートの肩書を自ら捨て、“院内警察”に来たのは、榊原との関係に理由があるのか…。敏腕院内刑事と天才医師、異なる2人の正義が交錯する。