外信コラム 米国「無人タクシー」の衝撃 大都市の中心で「個室」体験 安全実感したが気恥ずかしさも
米大統領選取材の一環で、世界的IT企業が集積する西部サンフランシスコに出張中のこと。米国でも珍しい無人自動運転のタクシーが市内と一部近郊で実用化されていると聞き、物は試しと乗ってみたところ、想定以上に快適かつ便利なので驚いた。 運営するのは米グーグル傘下の「ウェイモ」。スマートフォンのアプリを使い簡単に予約できる。ほぼ新車の車内は揺れも少なく快適で、洒脱(しゃだつ)なBGMも流れてくる。何より大都市の真ん中で「個室」を味わえるのは素直に気分が良い。 正直に言うと、乗る前は「交差点で止まったらどうしよう」と心配していた。だが、あまりスピードを出さずに40キロ程度で走り、無理な車線変更などもないという印象。自動制御でハンドルがクルクル動く姿を見ると何やら愛着もわく。料金も比較的お手頃で、通常のタクシー並み。現地在住の人からも「チップを払わなくていい」「夜でも安心して乗れる」と好評だ。 難を挙げるとすれば、まだ発展中の技術ということもあり、「信号無視があった」などの声も聞こえてくること。それと、米国でも珍しいがゆえに、地元民や観光客から写真を撮られまくることだ。スモークガラスなので車内は見えないはずだが、信号待ちの停車のたびにスマホを向けられるのは、何とも気恥ずかしい…。(本間英士「東京発世界」)