「結婚はできない、普通の生活もできない」 同性愛者の “諦め” を変えてくれた人生のパートナー
日テレNEWS
日本では同性婚をめぐる法整備の遅れや世間の理解不足からくる差別など、まだまだLGBTQを取りまく課題が問題となっています。そんな中、同性婚が10年前に認められたフランスで、男性のパートナーと結婚した日本人男性がいます。フランスで活動するバレエダンサーの竹田純さん(40)です。竹田さんは2023年3月、リトアニア出身のインテリアデザイナーのクリスさん(34)と結婚しました。 現在は、バレエをベースに考案したエクササイズを発信しながらフランス中央部に位置するブロワという町で、クリスさんと愛犬と共に幸せに暮らしている竹田さんですが、それまでの道のりには、同性愛者であることが周囲に知られるという不安や恐怖、自身のセクシュアリティーに思い悩んだこともあるといいます。今までどんな人生を歩んできたのかお聞きしました。
■周囲に理解してもらえない“つらさ”より“諦め”の気持ち
――ご自身が同性愛者であると周囲に伝えていましたか? 竹田:私は言えなかったです。ずーっと…。言ったら変に思われるのかなとか、いじめとか怖かったので(本当の自分は)出せなかったですね。結果的に怖がっていたのでバレてしまっていじめられたというか…。学生時代は部活とか男子テニス部だったんですけど1回も行かなかったです。積極的に行くっていう心がなかったんです。言いづらいし両親にも言ってないですし、気づいてほしかったんですけれども、(理解してもらえないと思って)“諦めていた”っていうところはすごくあります。
■「こういう世界もあるんだ」日本と違うフランス文化
2016年に共通の友人の誕生日パーティーで出会ったという2人は食事などを重ねて交際がスタート。日本でしばらく過ごした後、クリスさんの仕事の都合によりフランスに移住しました。フランスでは2013年5月より同性同士での結婚が認められるなど、国内のLGBTQに対しての認知度や理解度が高いといいます。そんな多様な文化の中で暮らした竹田さんは、これまでふさぎ込んでいた自身の気持ちにある変化が芽生えたそうです。 ――日本とフランスとの違いはありますか? 竹田:日本は“カテゴリーとして見る”というといいますか、フランスって普通に見てくださるから、わざわざ「ゲイなんだよ」って言わなくてもいい。表現もしなくてもいい。こういう世界もあるんだって(フランスで)肩の荷が降りたみたいな感じです。 ――肩の荷が下りてどんな行動を取りましたか? 竹田:(クリスと)一緒に話し合って、(インスタグラムの投稿を)ポチっと押して世間に発表しました。もちろん好きではない人たちもいるだろうなというのはすごく怖かったです。ですが応援してくださる方もいて、こんなにも(本当の自分を)受け入れてくれるんだって初めて思って、「自分の息子が同性愛者なんです」とか「自分が同性愛者なんですが希望が持てました」とか言われて、そういう方々に“希望を与えることができてるんだ”っていうのもすごい嬉しかったです。 ――公表した後で良いことはありましたか? 竹田:良いことはやっぱり“クリスといる”っていうことに対して(世間に)言えるってことです。これはすごく大きかったです。 クリス:外にいる時も自然にできるし、エクササイズの生徒さんと話している時も本当に自然に話せているからすごく楽になったと思います。