慣性モーメントを制する者はスウィングを制す!? 今流行りの“10K”の本質と「なぜ今10K?」の疑問をクラブデザイナーの松尾氏が徹底解説!
「ドライバーはルールによる規制があらゆるところにかかっていて、数値でわかりやすく“すごい”アピールできる点がほとんど残っていないんです。2003年にフェースの反発係数(COR)が0・830以下に規制されるとともに、ヘッドサイズは460㏄が上限となり、もはやそれらはすべて達成されています。クラブの長さの上限も22年に48インチから46インチに短くなりました(※)。ヘッドの慣性モーメントも左右5900g・㎠という規制があり、ここは07年ごろにはもう上限に達しています。しかし実は、ヘッド上下方向の慣性モーメントはまだ規制がなく、データとしてもあまり注目されてこなかった“未開拓ゾーン”だったんです。各メーカーがそこにフォーカスして開発を進めた結果4200g・㎠を超えるところまで達し、左右と合計して1万=10Kという数値のインパクトを打ち出せるようになった、ということだと思います」
実は「ナイキ サスクワッチ SUMO2」はすでにほぼ「10K」だった!
ヘッド左右MOI●5937g・㎠ ヘッド上下MOI●3761g・㎠ 上下と左右を合計すると9698g・㎠! ネック軸回りMOI●10102g・㎠ 2007~2008年には、ナイキとキャロウェイが四角いヘッドを発売し「慣性モーメントの極大化」を打ち出した。松尾氏の計測によれば、ナイキ「サスクワッチ SUMO2 5900」は上下慣性モーメントも非常に大きく、実は「ほぼ10K」に達していた。
確かに近年のドライバーは、カーボンフェースやAI設計などテクノロジーを前面に押し出す一方、数値によって「こんなにすごい」とアピールするモデルは少なくなっていた。ルールでがんじがらめのなか、残された数少ない数値上の進化アピールポイントがヘッド上下慣性モーメントであり、「10K」だったというわけだ。
その意味では「10K」ドライバーとは、ヘッド上下方向の慣性モーメントが大きいことが最大の特徴といえるだろう。実際、「G430 MAX 10K」のデータをスタンダードモデルの「G430 MAX」と比べてみると、上下の慣性モーメントが200g・㎠、約5%ほど大きくなっている。“飛ばし方”を考えるうえでも、ここがカギになりそうだ。
月刊ゴルフダイジェスト
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