リニアトンネル建設、都民45人が国の認可取り消し求め提訴 「大深度法は憲法違反」
地下工事のトラブル続く
提訴後に記者会見した原告団長三木一彦さん(大田区在住、66歳)は外環道の陥没事故に言及。「かつては平穏な住宅街だったのに、今や騒音が一日中響く工事現場かコンビナートのようになってしまった。あの工事もリニアと同じ大深度法で認可された。違憲な大深度法に基づく違法な認可がまかり通っているのを黙って見ているわけにはいかない」と訴えた。 原告代理人の島昭宏弁護士も地下トンネル工事で陥没事故が頻発していると指摘。「生活の場が壊され人権侵害を伴う。大きい、高い、速い、を安易に求める価値観が通用しない時代に、リニアを造ろうとすればこんなリスクがある。これからの時代に必要か、裁判では議論していく」と強調した。 JR東海は住民説明会で「リニアには外環道陥没事故が発生した『特殊な地盤』はないと考えている」と違いを強調したものの、大深度地下工事はトラブル続きだ。 北品川非常口から21年10月、「調査掘進」を開始したがシールドマシントラブルを繰り返し、約300メートルのうち約2年半で124メートルしか進んでいない。愛知県春日井市の坂下非常口では同マシンのカッタービットが破損し40センチで停止。提訴後の4月8日に北品川で掘進を再開し、坂下と名古屋市の官庁街にある名城非常口で新たに調査掘進を始めた。 JR東海の丹羽俊介社長は3月29日、品川―名古屋間の「2027年開業断念」を公式に表明した。 今回の提訴について国交省は「訴状が届いていないので、特にコメントはない」、JR東海は「特に申し上げることはない」としている。
井澤宏明・ジャーナリスト