現役復帰即“日本代表入り”の吉田亜沙美が見据えるパリ五輪予選「今の自分ができることを」
■「昔の自分とは切り離して」
最終メンバーの12名に入れば、4年前のOQT以来の日本代表での試合となる。ただ、このときは開催国枠で東京オリンピックの出場権を得ていたため、出場権を勝ち取りに行くOQTとなると2012年のロンドン・オリンピック予選にまで遡る。※2016年リオデジャネイロ・オリンピックは、当時アジア選手権の優勝国に出場権が与えられたため、アジアで優勝していた日本はOQTに出場していない。 ロンドン・オリンピックのOQTは12チームが一同に介し、その中で上位5チームに出場権が与えられる形式だったが、日本は5位決定戦でカナダに敗れて、あと一歩のところでオリンピック出場を逃した。現在の日本代表でその悔しさを味わったのは髙田真希(デンソーアイリス)と吉田のみ。これまで様々な経験をしてきた吉田に改めてOQTを戦う上での大事なことを聞くと、このように返ってきた。 「自分たちのバスケットを40分間どれだけ遂行できるか。選手たちが自分の役割を全うし、目標に向かっていけるかも大事だと思います。(OQT初戦の)スペインは格上だとは思いますが、ひるむことなく戦う。2戦目は開催国のハンガリーとの対戦でアウェイになりますが、初戦のスペイン戦で自分たちのバスケットができれば、良いバスケットができるのではないかと思います」 OQTに出場すれば、オリンピックを懸けた大一番が吉田の日本代表復帰戦となるのだが、「プレッシャーはそこまでないですね」と、本人は言う。加えて「自チーム(アイシン)で与えられている役割とほぼ一緒で、流れを変えることやメインのポイントガードをどれだけ休ませられるかということにフォーカスできています。日本代表にいられることがありがたいと思っていて、だからこそ結果を残さないといけないという気持ちは強いのですが、気負わずに。昔の自分とは切り離して、今の自分ができることを精一杯やるということに集中しています」と、発した。 体力も与えられた役割も12年前とは違う。だが、「限られた時間で自分のパフォーマンスをどれだけ発揮できるかということにこだわっていきたい」と語るベテランは、昔と変わらず、日本の勝利のために全力を尽くす。 取材・文=田島早苗
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