〈親子3代で売春あっせん〉「遊んでいかはります?」大阪の歓楽街・松島新地で経営者らを逮捕…万博を控えての浄化作戦で風前の灯か
「ちょっと、お兄ちゃん」やり手婆が客をつかまえて…
料亭が立ち並ぶ通りを歩いてみれば、「ちょっと、お兄ちゃん」と間髪をいれずに声が上がる。 「やり手婆」と呼ばれる客引き役の女性が客をつかまえ、大きく開け放たれた玄関先から女性が笑いかけてくる。 その多くが、ナース風の衣装やランジェリー、なまめかしいドレスなど、客の欲情を煽るような衣装に身を包んでいる。 「大阪にはこのほかに、全国的にその名が知られる『飛田新地』があります。通天閣に近い大阪市西成区にあり、約160店が軒を連ねる日本最大の売春小屋エリアで、約90店舗の料亭が営業する松島新地はその飛田新地に次ぐ規模とされています」(前出の地元関係者) 最寄り駅は、大阪市西区の市営地下鉄中央線、阪神なんば線の九条駅。降り立ってすぐの「ナインモール九条」という商店街をしばらく歩くと、通りの両端にアーチ風に立つ街灯に二つ並んで設置された「松島料理組合」の看板が目印になっている。 「遊んでいかはります?」。軒先でのやりとりで“商談”が済むと、玄関で靴を脱ぎ、狭い階段を上って2階に。ふすまを開けると、簡素な布団が一組敷かれ、部屋の端に置かれたちゃぶ台に料金表が掲げられている。 「料金は20分で1万1000円。そこから10分ごとに5000円が加算されていくシステムで、30分1万6000円のコースが一般的ですね。在籍する女性の年齢層は比較的高めですが、4年ほど前に兵庫県尼崎市の花街『かんなみ新地』が一斉摘発されて壊滅してからは、そこにいた女の子が流れてきたこともあり、一気に若返った印象です」(前出の地元関係者) かんなみ新地の最寄り駅である阪神尼崎駅と、松島新地がある九条駅は、阪神なんば線の快速急行に乗ってわずか9分。かんなみ新地で働く女性らが、同じ業態の店が集まる松島新地に流れ込むのは自然な流れだったという。
万博を控え、街全体に広がる不安
ただ、松島新地は世間を騒がせた「捕り物」の舞台になってしまったほかにも、ここ最近は受難が続いている。2021年12月には店舗2棟が燃える火事が起き、木造家屋が密集する地域が抱える防災上のリスクを指摘する声が上がった。 さらに、懸念されているのは、来年に開幕が迫った55年ぶりの大阪での日本国際博覧会(大阪・関西万博)が及ぼす影響だ。 前出の地元関係者は「国際的なイベントがあると真っ先にやり玉に挙げられるのが風俗街です」とため息をついて続ける。 「東京五輪のときは全国有数のソープ街である吉原でも存続を危ぶむ声が上がりましたが、大阪では実際に1990年の『花の万博』を前にした浄化作戦で、大阪・ミナミのソープランド街が一掃された過去があるだけに、いつ行政が整理に乗り出してくるのかと不安は尽きません。今回の騒動もあっただけに街全体に危機感が広がっているのが現状です」 昭和、平成、令和と「花街」の歴史を刻んできた松島新地。儚く揺れる街の灯はこのまま消える運命なのか。 取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班
集英社オンライン編集部ニュース班