アンパンマンの必殺技「アンパンチ」のポーズを取る今田（左）と北村＝東京・渋谷（撮影・萩原悠久人）

国民的キャラクター「アンパンマン」を生んだ漫画家、やなせたかしさんと、小松暢（のぶ）さん夫妻を題材に描く２０２５年度前期のＮＨＫ連続テレビ小説「あんぱん」で、やなせさんがモデルの柳井嵩（たかし）役に俳優、北村匠海（２６）が決まり２６日、東京・渋谷の同局で発表された。北村はヒロイン・朝田のぶ役の今田美桜（２７）と会見。夫婦役は初だが、共演は６度目で「安心しました」と顔を見合わせた。 【写真】ありし日のやなせさんと妻の暢さん。北村と今田がどう演じるかに期待 注目のやなせさん役は北村だった。 朝ドラは２０１９年度前期の「なつぞら」オーディションを受けたが落選。北村は「朝の顔に向いていないと思っていた」と苦笑しつつ、「実在の人物を演じるプレッシャーはありますが、まずは楽しんでやっていこうと思っています」と背筋を伸ばした。 ４人組ダンスロックバンド、ＤＩＳＨ∥のボーカル＆ギターでも活躍中。ライブでは「１０分後に命を落とすかもしれないから、今をどう生きるかが大事」という信条を観客に話しかけることがあり、それを昨年１２月に聞いた制作統括、倉崎憲氏（３６）が「やなせさんに通じる生き方」と直感。配役に決める重要な決め手になったという。 北村は「子供の頃、アンパンマンが大好きだった。保育園になじめなくてアンパンマンに助けてもらった記憶がある」と述懐。「水にぬれると誰かに顔を取り換えてもらわないといけない弱みもあるが、自分の弱さを知ることは誰かの思いをくむ強さにもつながる。それはやなせさんそのものだったと思うので、人の弱さも強さも丁寧に演じたい」と誓った。 大ヒット映画「東京リベンジャーズ」シリーズなどで共演した今田は「北村さんは素直でピュア。（夫役に決まり）うれしかったし、ホッとした。夫婦の人生を温かく歩んでいきたい」と決意を新たに。北村も「僕も安心しました。今田さんは周囲の人の心を柔らかくする。芯も強い」と全幅の信頼を寄せた。 ２人は今年初め、別々に仏パリで行われたファッションイベントに行った後に偶然、帰国便に乗り合わせたばかり。北村は「夫婦役は巡り合わせと思う」という言葉に実感がこもった。高知県の小学校の幼馴染でもあった夫妻。撮影は今秋から。実際の人生に重ね合わせ、今田は土佐弁、北村は標準語のせりふがメインとなる。 ★主役はあくまで今田

「あんぱん」は、伊藤沙莉（２９）主演で放送中の「虎に翼」、橋本環奈（２５）主演の「おむすび」に次いで来春から放送。やなせ夫妻（いずれも故人）を題材に、さまざまな苦難を乗り越えアンパンマンを生み出すまでを描く。やなせさんは自らも従軍した戦時中、特攻隊員の弟を失った。倉崎氏は「来年は戦後８０年。やなせさんは戦争当時を振り返り『空腹が一番つらかった』と話していた。それがアンパンマンを生むきっかけにもなったと聞いているので、戦時中もしっかり描きたい。ただ、主役はあくまで今田さんです」と付け加えた。