震災知らない世代も取材に奮闘 ── 尼崎のラジオ局・特番への意気込み。阪神淡路大震災から20年
阪神間4ラジオ局合同の特別番組放送で若手も奮闘
一方、同局をはじめ伊丹市の「エフエムいたみ」、西宮市の「さくらFM」、宝塚市の「エフエム宝塚」が合同で特別番組を制作。17日午前9時から2時間にわたり、4局合わせた聴取区域の住民136万人に向け「阪神淡路大震災から20年─いま私たちにできること―」を放送する。こうした4局同時放送は初めてのことだという。 そこで今回、FMaiaiがキー局を務めることとなった。「前からこの4局は交流がありましたが、同時にという形は各局の編成上難しかったんですが、今年は20年という節目。そして土曜日という比較的各局編成が組みやすい日ということもあり、初めての試みとなりました」とFMaiaiの楠見正之放送局長は話す。 16日も放送準備は進むが、そこで26歳の女性スタッフ下田紗代さんの姿を見かけた。聞けば、幼稚園の時に地元の神戸市東灘区で被災。自宅にそこまでの被害はなかったが、周囲は崩れた家などが多かったという。 電気・ガス・水道といったライフラインが通っておらず、暗やみの中、ロウソクを持ってトイレに行くことを怖がっていたと母親から聞いた。後に入学した小学校は避難所となっていて、入学式は別の場所で行われたという。 「よく先輩方から『記憶がないやろ』と言われますが、小さい時の見たままの記憶って、けっこう残っているものだと思うんです」。それは『小さな被災の記憶』かもしれない。しかし、きっとこの記憶が今の仕事に生かせる時がある、と下田さんは考える。「20年という節目にこうした放送に携わるのは感慨深いものがあります」。震災を知らない世代も、様々な形で多くの人に「震災の事実と教訓」を伝承しようとしている。 FMaiaiの放送は、公式サイトから全国どこでも聴くことができる。