【スポーツとファッション】ポロシャツは“誰”のもの? VOL.4
ポロシャツの現在地
ラコステは、袖のリブによるフォルムの美しさや、IZOD(アイゾット)と呼ばれるアメリカ製の裾(後ろ身頃が長い)など、その物の良さに心酔し、愛用する人が多い。そして現在では、〈フレラコ〉というフランス製のラコステに付加価値が見出されている。 一方で、フレッドペリーは、モッズをはじめとするイギリスのユースカルチャーの匂い(付加価値)込みで愛されてきた。そしてラルフローレンは、戦後日本のファッションスタイルを形作ったアメカジのアップグレードされた象徴として、上質さとユースカルチャーの匂いを混在した特別なブランドとしての付加価値を内包し、定番となっている。 大人と子供、80年代と90年代、物とカルチャー、これらが対義的に語られカテゴライズされてきたが、記号化されたファッションの時代は終焉を迎え、大きなトレンドとされる流れも少なく、より自由にポロシャツを選択することができる時代がやってきた。 ただ、あまりにもニュートラルにポロシャツに手を出すと、痛い思いをすることにもなりかねない。ニュートラルとは、その服の〈威光〉を借りられず、自分自身がそのまま〈ファッション〉として捉えられてしまう事態を意味する。
着こなせ、という圧力
〈服を、自分自身に従属させよ〉とささやく時代は新鮮であり、正しいファッションの在り方なのだろうが、個人的にはあまり乗れない。自分はこれまで、何度も何度もポロシャツにチャレンジし続けてきたが、どうしても似合うと感じられたことがないのである。 どちらかというとアメリカのユースカルチャーの洗礼を受けてきたことから、フレッドペリーを着こなせるとは思えず――そもそも、今の自分は中年太りよろしくと言わんばかりにお腹だって出ている――ラコステに関しては、ごく平均的な家庭で育ったものだから、恥ずかしくて上流階級ヅラなどできるわけもない。では「ポロ・ラルフローレンだ!」となりそうなものだが、ならない。ならない理由は分からない。 唯一、似合っていたかもと思い込むようにしているのは、学生時代に勤しんでいたバドミントンのユニフォーム。ヨネックス(YONEX)やミズノ(MIZUNO)と言った国産のブランドのもので、ファッションではなく、あくまでスポーツのユニフォームとして着用したものだったような気もしている。というか、ポロシャツを着こなしている日本人など、モデルとアスリート以外にいるのだろうか……。
VictorySportsNews編集部