阪神・球児監督 輝3番構想 過去わずか12試合の“未知の打順”も「良さが発揮できるんじゃないかと」
阪神・藤川球児監督(44)が6日、兵庫県西宮市の球団施設で開催された球団年賀式に出席した。終了後の取材対応で、佐藤輝明内野手(25)を3番に置く構想を表明。器用さが求められる打順を任せ、類いまれな素質をさらに磨く狙いがある。4番・森下翔太外野手(24)、5番・大山悠輔内野手(30)と続くV奪回クリーンアップで、新シーズンに臨む計画だ。 佐藤輝の打順は、藤川監督の目玉采配の一つになりそうな気配だ。新シーズンに向けて「3番はある程度、自己犠牲も出てくる。そういう意味では今度、佐藤を3番と考えている。これはこれで、佐藤の良さが発揮できるんじゃないかと思って。信じて、その道を突き進むつもり。今は」と構想を掲げた。 3番といえば、巧打に長打、時にケース打撃も求められ、日本では器用さがある強打者が任されている傾向がある。一発はあるけれど三振が多いという大味な佐藤輝には、不向きな印象が先行する。 それを物語るように、過去の監督も、クリーンアップを任せてもその打順を避けてきた節がある。プロ4年間で、3番で先発したのは矢野政権下だった22年の11試合、岡田政権下だった昨年の1試合、合わせて12試合しかない。成績は、46打数12安打で打率・261、2本塁打、8打点にとどまる。158試合ある4番、204試合の5番に比べて、圧倒的に少ないのだ。 いわば未知の打順。そこに、藤川新監督は可能性をみている。まず挙げたのは「読みやすくなると思うので」という配球面のメリット。走力がある近本、中野が一塁にいれば、二盗を警戒して直球の割合が増えることが予想される。さらに「彼は、左中間の方に打ったりする率がある」とヒットゾーンの広さにも適性を見込む。そして、「ゲームのシチュエーションをいろいろ考えながらという部分が磨かれていくと思う」と伸びしろにも言及。飛躍を後押ししたい思いをにじませた。 4番は、勝負強さを買って森下を想定する。「(侍ジャパンの)井端監督から見ても凄く意外性があるバッターで、凄い働きをすると言っていた。多方面からそういう話を聞いて、その歩みを止めない」と評価した上で、「伸びている途中だから、負荷を与える」と成長促進を期待した。 5番は、昨季チーム一の得点圏打率・354をマークした大山に全幅の信頼を寄せる。「大山で待ち構えたいというのが自分のプラン」。5年契約でのFA残留をしたその主砲とこの日、新年の初対面。固い握手をかわした。 クリーンアップをシャッフル。藤川流の打線てこ入れ策が、2年ぶりリーグVを加速させる。(倉世古 洋平) ○…藤川監督は近本の打順1番は「不動」と評した。この日、甲子園球場に隣接するクラブハウスで対面した最初の選手だったそうで、会話の中で「自分が思う役割を明確に話すことができた。お互いにとって有意義な時間だった」とトップバッターとして求める姿を伝えた。チームの大黒柱が、年始の球団施設利用開始日に練習したことにも触れ、「この1月の最初の日に来るんだなと。本当に心強い」と感嘆交じりだった。