「自転車保険」加入義務付け 長野県も条例制定を検討
自転車による重大な人身事故に対応する「自転車保険」の加入を義務付ける条例が自治体の関心を集めており、長野県も条例制定の検討に入りました。昨年の県議会で県が検討を表明し、現在県民の意見を聴く意見交換会を実施中。全国では自転車が加害者になった事故で1億円近い賠償請求の例もあり、「手軽な乗り物だから」という認識を改める時期に来ているようです。 【写真】長野県で「淫行条例」が成立 罰則適用など課題残す
県内8か所でヒアリング
長野県によると、自転車保険の加入を義務付ける自転車条例を制定しているのは全国で大阪府、兵庫県、滋賀県の3府県。駐輪の方法や安全運転などを定めた条例は10近い自治体が制定していますが、自転車保険の加入義務化はまだ少数派です。 加入義務化が注目されるようになったのは、自転車が加害者になった事故で高額の賠償を求められるケースが増え、社会問題化したため。同県のまとめによると、小学生が自転車で62歳の女性と衝突、女性は頭蓋骨骨折で意識が戻らず、監督責任を問われた母親に9500万円余の賠償命令が出た兵庫県のケース(2013年)など、ここ10数年の間に全国で3000万円以上の賠償請求・命令の例が11件に上っています。 身近な乗り物で免許もなく保険も任意の自転車だけに、いったん大きな事故になると「刑事的にはそれほど厳しい刑罰にならなくても、民事的には非常に厳しい(高額の損害賠償の)判決が出ている」(長野県県民文化部くらし安全・消費生活課)。 長野県では自転車が関係した交通事故が、ここ数年毎年900~1000件前後で推移。死者は2013(平成25)年の4人から5人、7人と毎年増え、2016年は8人と増加傾向です。高額賠償の例は確認されていませんが、同様の賠償問題が生じれば、県内でも社会問題化するとの懸念から条例化を検討。自転車保険の加入義務などについて幅広く県民の声を聴き、条例の検討に反映させることにしました。すでに長野、松本で意見交換会を開き、2月までにさらに県内8か所で実施します。