すなくじらの「2023年 年間ベストアニメTOP10」 推し×応援上映の熱狂が渦巻く1年に
リアルサウンド映画部のレギュラー執筆陣が、年末まで日替わりで発表する2023年の年間ベスト企画。映画、国内ドラマ、海外ドラマ、アニメの4つのカテゴリーに分け、アニメの場合は、2023年に日本で劇場公開・放送・配信されたアニメーションから、執筆者が独自の観点で10作品をセレクトする。第1回の選者は、下町育ちのエンタメライターのすなくじら。(編集部) 【写真】月野うさぎが三日月をバックに凛々しく立つ姿(場面カット) 1. 劇場版『美少女戦士セーラームーンCosmos』 2. 『山田くんとLv999の恋をする』 3. 『劇場版アイドリッシュセブン LIVE 4bit BEYOND THE PERiOD』 4. 『【推しの子】』 5. 『葬送のフリーレン』 6. 『呪術廻戦』 7. 『天国大魔境』 8. 『北極百貨店のコンシェルジュさん』 9. 『屋根裏のラジャー』 10.『劇場版 Collar×Malice -deep cover-』 2023年を振り返ると、『【推しの子】』や『呪術廻戦』のような社会現象を巻き起こした作品が目立った一方、長年にわたり女性ファンを中心に支持を得ているアニメ作品の新作が注目を集めたことが印象的だ。 劇場版『美少女戦士セーラームーンCosmos』や『劇場版アイドリッシュセブン LIVE 4bit BEYOND THE PERiOD』は、過去の作品の集大成としての位置付けもある一方で、発売から7年以上の時を経て、初めて劇場版アニメ化された『劇場版 Collar×Malice -deep cover-』のような作品も登場した。また、これらの作品が全て前後編で構成されていたことも特筆すべき点だろう。 また、新作ではないものの、150万人を動員した『劇場版 うたの☆プリンスさまっ♪ マジLOVEスターリッシュツアーズ』の再上映や「『あんさんぶるスターズ!THE STAGE』-Party Live-」の劇場上映など、『劇場版アイドリッシュセブン』以外にも応援上映の流れが大きな話題となった。2023年はコロナ禍を脱したことで、声出し上映の盛り上がりが特に顕著だったと言えるのではないか。 以下、ベストアニメTOP10のうち上位5作品を解説しよう。 5位:『葬送のフリーレン』 ゴールデンタイムの『金曜ロードショー』(日本テレビ系)2時間枠での初回放送が注目を集めた『葬送のフリーレン』。主役のフリーレンの声は、『SPY×FAMILY』でアーニャを演じた種﨑敦美。『ぼっち・ざ・ろっく!』の斎藤圭一郎が監督、エバン・コールが劇伴を担当するなど、2023年のアニメ業界の前線で活躍するクリエイターたちの情熱が詰まった作品でもある。 4位:『【推しの子】』 「Yahoo!検索大賞2023」のアニメ部門で1位を獲得し、「ネット流行語 100」の年間大賞も受賞するなど、アニメファンだけでなく広い層に支持された『【推しの子】』。ストーリーの魅力はもちろんのこと、TikTokとのコラボレーションや、近年の恋愛リアリティショーの問題を反映した内容が2023年の現代性と非常にマッチしていたことが、“勝因”の一つだろう。 3位:『劇場版アイドリッシュセブン LIVE 4bit BEYOND THE PERiOD』 『劇場版アイドリッシュセブン LIVE 4bit BEYOND THE PERiOD』は、映画館での上映ながら、実際のライブ会場にいるような臨場感あふれる演出と迫力のサウンドで観客を魅了した。陸と天によるデュエット曲「Incomplete Ruler」は、一人のアイナナファンとしては「泣かせにきている」の一言に尽きる。各グループや曲ごとの独特なステージ演出がライブを盛り上げ、2023年のアイナナの現在地を見事に表現してくれた。 2位:『山田くんとLv999の恋をする』 『山田くんとLv999の恋をする』の主人公・山田を抜きにして、今年のアニメは語れない。ゲームの世界ならではの電子音など、ポップな画作りに合わせた耳で楽しむ要素に溢れていた本作。その中心にいたのが、優しい一面にギャップを感じさせるゲーマー男子高校生の山田だ。内山昂輝の演じるクールキャラの真骨頂、“山田くん”の存在が毎週の楽しみになっていたファンも少なくないはず。 1位:劇場版『美少女戦士セーラームーンCosmos』 昨年2022年に連載開始30周年を迎えた、『美少女戦士セーラームーン』シリーズの最終章。純白のウエディングドレス姿で駆けていくうさぎを、優しく迎え入れるドレス姿の戦士たち。瞳を潤ませるうさぎと、その姿を愛おしそうに見つめる衛。長く果てしない戦いを一緒に乗り越えて来た仲間たちの前で、愛を誓い合う2人の最後のキスシーンは、まさにシリーズの集大成と言えるラストだった。2023年アニメベストを飾るに相応しい感動的なフィナーレに、改めて拍手を送りたい。
すなくじら