「統一スローガン」書かれたパネル撤去 台湾の離島 安全面への配慮から
(連江中央社)中国福建省に近い離島、連江県(馬祖)南竿郷福沃村福澳港に設置されていた中国統一を呼びかけるパネルが、先月末までに撤去された。看板を支える鉄筋が腐食し、安全面への懸念が地元住民から指摘されたためで、県では今後案内看板や写真で歴史を伝える方針だ。 文化部(文化省)のデータベース「国家文化記憶庫」によると、パネルは1978年に設置された。当初は「貫徹以三民主義統一中国」(三民主義による中国統一を貫徹させよう)と書かれていたが、周辺の建物の建設に合わせて順次撤去され、最近は「一中国」の文字だけが残っていた。 福沃村の陳震森村長は、近くには「白日夢」という民宿があり、政治的思惑を招いて迷惑をかけていたと話す。またパネルが落下して車両や人に当たった場合の責任の所在が明確でないことを懸念する声も住民から上がっていたと語った。 現地の情報サイト「馬祖資訊網」を運営する劉家国さんは、中国が台湾に対し一国二制度の導入を主張したのに対し、蒋経国(しょうけいこく)元総統は三民主義による中国統一を掲げ、離島の金門や馬祖に多くのスローガンパネルが設置されたと説明。福澳港のパネルは高所にあり、入港する船からも見やすく、保存の価値があるとして保存を訴えていたが、願いがかなわず「残念だ」と悔しがった。 地元の観光ガイドは、一部の住民が撤去を希望していたとする一方で、文化を重視する青年や専門家などは保存を求めていたとし、今後は展示空間や観光スポットに模型などを設置し、過去のイメージを再現してほしいと語った。 (高華謙/編集:齊藤啓介)