振り返る 習志野、光った機動力 準Vに満足せず、夏見据え /千葉
<第91回センバツ> 第91回選抜高校野球大会(毎日新聞社、日本高校野球連盟主催)で準優勝に輝いた習志野は夏の甲子園で2度の優勝を誇る伝統校だが、過去に3回出場した春は2回戦止まりだった。粘り強い野球で10年ぶりの春の舞台で快進撃を見せたナインの活躍を振り返りたい。【秋丸生帆】 準決勝を翌日に控えた練習後、竹縄俊希主将(3年)は取材に「ここまで来られるとは思っていなかった」と話した。昨秋の県大会は準優勝で、関東大会は4強。前評判は決して高くはなかったが、選手は「自分たちには力が足りない」を合言葉に冬の練習に励んだ。昨秋の新チーム発足以来、小林徹監督が繰り返し選手たちに伝えたのは「一戦一戦を栄養にしよう」だった。その言葉通り、チームは試合を繰り返す度に力を増していった。 初戦の日章学園(宮崎)戦で活躍したのは2年生たちだ。秋から冬にかけて体重を10キロ近く増量させたという高橋雅也選手(2年)は左中間を破る2点適時三塁打を放ち、角田勇斗選手(同)はフェンス直撃の3点適時三塁打。先発・山内翔太投手(同)は7回2失点の好投を見せた。 今大会注目の右腕、奥川恭伸投手(3年)を擁する星稜(石川)との2回戦は、「ダブルキャプテン」のもう一人、根本翔吾主将(3年)が死球を受けて負傷交代。それでも四回に竹縄主将が同点適時打、兼子将太朗捕手(同)が本塁打を放つなどして逆転勝ち。竹縄主将は「冬からバットを短く持って打撃練習してきた」と話し、星稜との対戦前はマシンの速度を145キロに設定して練習した。 準々決勝では市和歌山(和歌山)と対戦し、飯塚脩人投手(3年)が8回無失点と好投して逆転勝利を呼び込んだ。「星稜を抑えたことが自信と力になった」といい、球威は2回戦を上回り、自己最速を更新する146キロを記録。「打てば自分が楽になると思った」と、打撃でも六回に同点適時打を放つ活躍を見せた。 明豊(大分)との準決勝でも練習の成果は出た。3点リードされながら三回に重盗から1点を返して流れを変えた。八回に桜井亨佑選手(2年)が勝ち越し本塁打を放つ劇的なシーンもあって3試合連続で逆転勝利。2月に入ってから実戦的な走塁練習に毎日1時間近くを費やしてきた習志野ならではの機動力あるプレーだった。 決勝では、石川昂弥主将(3年)率いる東邦(愛知)に対し、序盤から攻撃が空回りして敗北した。竹縄主将は翌日の取材に「東邦との気持ちの違い」を口にした。「東邦は大会前から優勝を考えていた。自分たちは決勝前日になって初めて『優勝できるかも』『優勝しなくちゃ』と考えた。その結果、プレーが空回りしてしまった」と敗因を語った。その上で、「準優勝の結果には満足していない。ゼロからやり直し。今日からバットを振りたい」と夏を見据えた。 ……………………………………………………………………………………………………… ◇習志野の戦績 1回戦 8-2 日章学園 2回戦 3-1 星稜 準々決勝 4-3 市和歌山 準決勝 6-4 明豊 決勝 0-6 東邦