介入期待の個人投資家、過去最大級の円買いで逆張り-海外勢と対照的
(ブルームバーグ): 円相場が約34年ぶりとなる1ドル=152円に迫る中、個人投資家は過去最大規模の円買いポジションを抱えながら、通貨当局による円買い介入を待ち構えている。介入により円が急反発する局面を捉えて収益を得るのが狙いで、その姿はさらなる円安進行を見据えて円売りポジションを積み上げる海外投資家と対照的だ。
相場の流れに逆らう「逆張り」の取引スタイルで知られる個人投資家は、1年半ぶりに当局が円買い介入を再開することを期待している。鈴木俊一財務相や神田真人財務官が円安けん制を繰り返す中、市場では1990年7月以来の円安水準となる152円が「介入ライン」との見方がある。ストラテジストは介入が実施されれば、2022年のように円を5円程度押し上げる可能性があると予想している。
東京金融取引所によると、外国為替証拠金(FX)取引「くりっく365」で個人投資家によるドルに対する円の買い越しは28万枚を超えており、2月に記録した過去最大(約28万4000枚)に迫っている。
外為どっとコム総合研究所の神田卓也調査部長は、円相場が152円に近づくと、活発に取引する個人投資家はドル売り・円買いポジションを積み増していると指摘。「もし介入が入れば5円くらい円高に動く可能性があるので、いったんドル売りポジションを作っておこうという感じだ」と解説する。
狙うは5円程度の円押し上げか、ストラテジストが読む介入の効果
日本の個人投資家は世界のFX取引のおよそ3割を占めると言われている。国際通貨研究所の橋本将司上席研究員のリポートによると、東京外国為替市場委員会の集計をベースに、23年4月の東京市場のスポット取引におけるFX取引額の割合は79%だった。個人投資家は相場の動きと反対のポジションを取る「逆張り」の傾向があり、足元では円安の一方的な進行を抑える一因となっている。
一方、海外勢は円安がさらに進むと見込んで、円売りポジションを積み上げている。米商品先物取引委員会(CFTC)の最新データによると、レバレッジファンドやアセットマネジャーによる円の売り越しは2日時点で15万枚近くまで増加し、07年1月以来の高水準となった。