大津・保護司殺害、制度改革への影響必至 なり手不足に拍車も
大津市の住宅で保護司の新庄博志さん(60)を殺害した疑いで保護観察対象者の飯塚紘平容疑者(35)が逮捕された事件を受け、法務省が進めていた保護司制度の抜本改革の議論が影響を受けるのは必至だ。高齢化が進み、なり手不足が指摘される保護司。保護司が保護観察対象者だった人物に殺害されたケースは昭和39年以来なく、対応次第ではなり手不足に拍車がかかりかねない。 【写真】殺害された新庄博志さん(フェイスブックから) 非行少年や保護観察付きの執行猶予判決を受けた人らの相談に乗る保護司を巡っては、制度のゆがみが表面化していた。 無報酬で平日の昼間に活動することも多い保護司は60代以上が約8割で、70代以上も4割弱と高齢化が進行。活動費の一部は支給されるものの、持ち出しも少なくなく、「有料のボランティア」(現役保護司)との声も上がっていた。 法務省は昨年5月、現役保護司や学識経験者らからなる検討会での議論を開始。今年3月には公募制の導入などを提言する中間報告書を取りまとめ、10月までに最終報告書を取りまとめる方針で議論を続けてきた。 ただ、保護司と保護観察対象者とのトラブル処理については主要な議題から外れていたのが実情だ。事件を受け、今月下旬に予定されている検討会では、保護司が抱える不安への対応や環境整備などが議題として急遽(きゅうきょ)、追加された。 法務省によると、昭和39年に保護司が元保護観察対象者に殺害された事件はあったものの、保護観察期間中の事件の記録はない。 法務省の担当者は「保護司の抱える不安は大きい。安全確保に全力で取り組む」としている。(宮野佳幸)