【解説】“裏金事件” 39人の処分決定へ 総理批判も…自民党“今後”どうなる?
■分かれた処分の「明暗」…「党員資格停止」と「党の役職停止」では“雲泥の差”
鈴江キャスター 「そして3つめ、『分かれた処分の「明暗」』ということなんですが、まず、何が分かれたんでしょうか?」 日本テレビ 政治部官邸キャップ 平本典昭記者 「一番のポイントは処分で、『党員資格停止』処分と『党の役職停止』処分と2つありますが、これは“雲泥の差”なんです。 例えば、同じ安倍派幹部でも『党員資格停止』処分は下村氏・西村氏・高木氏。そして、『役職停止』処分は萩生田氏・松野氏です。 『党員資格停止』ですと、選挙で公認されません。総裁選でも投票もできません。 『公認されない』ということは、選挙に落ちる可能性が高まるということ。ある自民党幹部は『選挙が弱い議員にとっては、政治生命を絶たれる処分だ』と話しています。 一方の『役職停止』は、例えば萩生田氏については、すでに、党の役職『政調会長』を辞めています。なので、自民党幹部の1人は『萩生田さんは事実上、処分なしだ』と、別の閣僚経験者は『痛くもかゆくもないだろう』と指摘しています」
■なぜ軽い処分に?…「総裁選への協力を得ようとしているから」との分析も
鈴江キャスター 「なぜ、萩生田さんの処分は、軽いものになったんでしょうか?」 日本テレビ 政治部官邸キャップ 平本典昭記者 「その理由について、複数の自民党議員が『岸田総理サイドが、次の総裁選で、萩生田氏の協力を得ようとしているからだ』と分析しています。 そもそも岸田総理は処分判断の基準として『役職』・『不記載の金額』、そして『説明責任の果たし方』をあげていました。 萩生田氏はただ、 ・安倍派では“5人衆”と呼ばれる幹部 ・不記載の金額は2728万円と幹部では最多 ・政倫審での説明は行わず こういうことから、『示した基準とは違うではないか』という声も出ています」
■決定プロセス全体が“世間離れ”? 一般企業の場合…「経緯を解明しないで処分はできない」
鈴江キャスター 「処分への不満も多いようなんですが、そもそもこの“裏金事件”の実態解明が進んでいないなかで処分を決める、それだけで政治不信は払拭できるのかと疑問に思うんですが、どうでしょうか?」 日本テレビ 政治部官邸キャップ 平本典昭記者 「まさにそのとおりで、処分の線引きは“自民党内の論理”だと思います。そもそも、決定プロセス全体が“世間離れ”して理解が得られないという面があります。 一概に比較するのは難しいんですが、一般企業のケースと比べてどうなのか。企業統治などに詳しい久保利(くぼり)英明弁護士に話を聞きました。 『一般企業であれば、コンプラ違反があれば、経緯を解明しないで処分など到底できない』、『自民党は、スピード感が遅すぎる。一般企業なら、株価が下落する。こんなことはあり得ない』と指摘しています。 自民党執行部は、処分を決めることで“一定のけじめ”をつけたい考えでしたが、まだ混乱は続くことになりそうです」