60代、70代でも「脳を衰えさせないコツ」。1日2分の脳トレが効果的
年齢を重ねても自立した生活を送るためには、体の健康だけではなく「脳」の健康も重要。 「今まで、脳は大人になると成長することなく衰えていくだけだと思われていましたが、最近の研究で、高齢者になってもその機能を高められることがわかってきました」と話すのは、ムック『1日2分で脳が若返る!野鳥のまちがいさがし』(扶桑社)の監修者でもある、脳科学者の瀧靖之先生(東北大学教授 加齢医学研究所、臨床加齢医学分野)。 脳の老化を防ぎ、健康脳を維持し活性化させる秘訣を伺いました。「まちがいさがし」の問題にもチャレンジしてみてください。
脳のトレーニングには「まちがいさがし」がおすすめ!
少しでも脳を変化させる生活習慣やトレーニングを試みると、高齢者でも脳の機能が高められます。脳のトレーニング(脳トレ)のなかでも「まちがいさがし」は、脳の活性化を促してくれるので、高齢者の脳トレに適していると言われています。 まちがいさがしでは、1枚の写真を見て記憶し、別の写真を見て目の前の写真と「自分の記憶の中にある」写真を比べます。この場合の記憶が「短期記憶」と呼ばれるもので、「ワーキングメモリ(作業記憶)」を働かせて「違いを判断」し、認識します。 ワーキングメモリは、人がなにかの作業(ワーキング)に取り組む際に役立つ情報を一時的に保持(メモリ)しておく、いわば脳のメモ帳です。記憶力などに大きく関わり、年齢とともに衰えやすいものです。 しかし、トレーニングで比較的容易に向上することも知られており、「まちがいさがし」はワーキングメモリのトレーニングとして優れています。
「ドーパミン」が認知機能などを活性化
まちがいさがしの問題を解いて「おもしろい」と思うことで神経伝達物質「ドーパミン」の放出を促します。ドーパミンは記憶力を高め、心地いいという気持ちや達成感、さらにやる気を高めます。 プラス感情のときにドーパミンがさかんに放出され、前頭葉をはじめとする認知機能を担う脳を活性化するいい刺激となります。 このとき「写真を見る=視知覚を刺激」「なにが写っているかを理解する=認知力」元の写真を思い出しつつ比べる=記憶力」「間違いを見つける=判断力」「間違いをすべて見つけるまで頑張る=集中力」「すべて見つけたときの達成感=やる気」といった順に脳が動きます。そしてこれを繰り返すことで脳のトレーニングになります。