愛知の自動車業界にはびこる"下請けいじめ" 「赤字でもやらないとつぶれてしまう」 過剰な値引き交渉に憤り
下請法違反を勧告した企業数は2倍に "下請けGメン"は330人に増員
公正取引委員会が下請法違反を勧告した企業数は、2022年度までは毎年5社程度で推移してきました。しかし、2023年度は13社と前年の2倍に増加。これは、国が目指す「中小企業の賃上げ」を妨げる行為に、公正取引委員会が監視を強めていることが背景にあります。 特に自動車業界は、2021年にはマツダが、2024年は3月には日産自動車、7月にトヨタ系列の車体製造会社が、下請法違反で是正勧告を受けました。 自動車に関わる企業は全国に約6万社。取引額は約42兆円にのぼりますが、立場が弱くなる中小零細になるほど、コストカットの圧力が増し、利益が少なくなるといういびつな構造になっています。 下請け企業の状況に目を光らせているのは、中小企業庁に所属する「下請けGメン」。2017年に誕生し、中小企業を回り、買いたたきなどで下請けいじめが行われていないか、取引の実態について聞き取りを行っています。 聞き取りは、2023年度までに全国で5万件以上。2024年度は、300人から330人に増員しています。また、公正取引員会は2024年5月、「物価や人件費が上がっているにも関わらず、価格を据え置いた場合も"買いたたき"に該当する恐れがある」と下請法の運用基準も見直し、監視をさらに強化しています。 しかし、違反行為を告発したことが発注元にばれると、仕事を切られてしまうのではないかという中小企業側の不安は解消されていません。監視が強化されても、明らかになる発注元の不当行為は、氷山の一角かもしれません。
「損害は3億円」 大企業との不当な関係
山本プレス工業は、売上の7割を占めていた部品をめぐり、大手金属メーカーを相手取った訴訟を起こしています。山本社長によりますと、このメーカーから仕入れた素材に欠陥が見つかり、出荷できなくなりました。しかし、メーカーに人件費など加工費を補填する意思はなかったとして、山本社長は、裁判で生産がストップしているこの4年間の損害約3億円を支払うよう求めています。 (山本プレス工業・山本正好社長) 「引き延ばし、引き延ばしで。これは僕の解釈ですが、潰れるのを待っているか、和解してくださいと言いに来るのを待っているとしか考えられない。それが一番の苦しみ」 下請けいじめをはじめ、大企業との理不尽な関係を抱えてきた中小企業。国が不当な取引にメスを入れ始める中、「言うべきことは言える」環境に変われるのか注目されています。 CBCテレビ「チャント!」2024年9月4日放送より
CBCテレビ