早朝から始まるノリ網の種付け作業。遅れている海水温の低下を待つばかり＝明石市二見町南二見、兵庫のり研究所

　兵庫県明石市二見町南二見の県漁連「兵庫のり研究所」でノリ網の種付け作業が終盤を迎え、晩秋に始まる海上養殖へ向けた準備が進む。 【写真】巨大な水車を使って行われるノリ網の種付け作業 　種付けは採苗とも呼ばれ、幅約１・６メートル、長さ約２０メートルの網を巻き付けた水車を回転させて表面にノリの胞子を付着させる。 　早朝、水槽につるしたカキ殻から日光に反応してノリの胞子が放出されると、九つの巨大な水車が回転を始めた。職員が顕微鏡を使い、網の表面に胞子が付着したことを確認すると、今度は定着用の水槽に網を移して浸した。 　近年は残暑の影響で採苗に適した気温に下がる時期がずれ込み、今年の種付け初日は９月２９日と、一昨年より１週間遅かった。今月下旬からは沖合での育苗と冷凍保存を経て、１１月下旬から海上での本張りに移る。順調なら半月ほどで収穫が始まる。 　国内有数の産地、九州・有明海では一昨年から２年続いて凶作が続いたため、兵庫は２年連続で生産量、金額とも日本一に。同研究所の川崎周作所長（５３）は「今季も生産者の意欲は高い。養殖が順調に進み、豊作になってほしい」と話していた。（小林良多）