MAX99マイル&4Kの猛アピールも「スカウトはいなかった」 なぜバウアーにメジャー球団は“無関心”なのか
自らの目標に向け、実戦でアピールした。 現地時間3月10日、今オフにメジャーリーグ復帰を目指すトレバー・バウアーは、米国を拠点に活動するトラベリングチーム「アジアンブリーズ」の一員としてマイナーリーガーを中心とした構成のドジャース戦に登板。3回(43球)を投げ、被安打1、4奪三振、無失点と上々の内容を披露した。 アジアンブリーズの公式X(旧ツイッター)によれば、バウアーがこの日に記録した最速は99マイル(約159.3キロ)。春先とは思えぬ仕上がりぶりだ。本人も手応えを感じた様子で、米老舗紙『USA Today』のボブ・ナイチンゲール記者のXで「僕はまだ世界屈指の投手であると人々が覚えていてくれればいいね」とコメントしている。 2020年にサイ・ヤング賞に輝いたバウアーは、ドジャースに移籍した2021年に性的暴行などの疑いで複数の女性から訴えられ、324試合の出場停止処分を受けた(後に194試合に軽減)。契約解除に至ると、昨年3月にDeNAに電撃入団。10勝4敗、防御率2.76、WHIP1.15と流石の好成績をマークし、単年契約が終了したオフにはメジャー復帰を目指して自由契約となっていた。 相手はマイナーリーガーを主体としたチーム構成だったとはいえ、しっかりと結果でアピールしたバウアー。そんな33歳の投球は、現地アメリカでも大々的に報じられている。米スポーツ専門局『ESPN』は「僕はリーグ最低額を要求していて、(契約は)お金の問題ではないんだ」とする登板後の本人のコメントを紹介したうえで、「200人以上のファンが小さな観客席に詰め掛け、声援を送っていたが、その場にメジャーリーグのスカウトはもちろん、ドジャース幹部の姿すらもなかった」とリポートしている。 実力に疑いの余地はなく、ボールに衰えも見られない。それでも、事前に登板が公表されていたこの日ですらスカウトがいなかったという事実が、メジャー球団のバウアーに対して“無関心さ”を物語る。 たしかにすでにほとんどの球団が補強を終え、レギュラーシーズンに向け、ディディールを高める時期ではある。しかしながら、ここまで無風状態なのは、米球界における女性問題や暴力騒動を起こした選手に厳しい目を向ける昨今の傾向があるからにほかならない。 すでに当該女性とは和解が成立しているが、過去の素行不良から「問題児のレッテル」を張られてしまっているバウアーは、どれだけの実力を示そうともかなりシビアに見られているのは間違いない。 無論、現状が続けば、“野球浪人”は免れられない。果たして、日本で異彩を放った名助っ人は、このままひっそりと一線を離れていってしまうのだろうか。 [文/構成:ココカラネクスト編集部]