桂雀々が「添乗員」に、奇想天外な演出で見せるスケッチ落語
2024年で7回目を迎える「新歌舞伎座」(大阪市天王寺区)での『桂雀々独演会』が、2月24日に開催される。「春待ち、お喋り公演」と題して、昼の部では「天王寺詣り」を、夜の部では「猿後家」をそれぞれメインに披露する。 【写真】陽気な雰囲気で取材に臨む桂雀々 ■「旅に行って添乗員のお喋りを聴くように」 「天王寺詣り」は大阪の名刹・四天王寺(大阪市天王寺区)が噺の舞台。「猿後家」は奈良を旅してきた男の話がハイライトとなる上方落語。これまでも規格外の表現で沸かせ、「スーパー落語」「飛び出す落語」と称されてきた雀々だけに、見せ方もひと工夫、考えているという。 「この二席は旅ネタ、いわゆるスケッチ落語と言われるものです。今も実際にある地名や建物、名所が次々に登場します。まるで旅に行って添乗員のお喋りを聴くように、お客さん自身もワクワクした気分になるのでは。さて、この表現をどうスクリーンで表現しようか。舞台さんやデザイナー、さまざまなスタッフとアイディアを出し合いながら楽しい演出を構築したいと思っています」 回り舞台やせりなど、舞台機構が充実している「新歌舞伎座」。それだけに「どう見せるか」というのは、毎回の課題でもある。「座布団に座ってしゃべるのではなく、立って歩きながらでもいいかなと思っています。回り舞台を練り歩くのか、花道からしゃべりながら出てくるのか。場数を踏んでいくと、観せ方もかぶってきますので変化を考えなければいけません。今回は枠からドーンと飛び出すような気持ちでやれたら」と意気込む。 ■ 師匠からの教えを「勝手に飛び出していこうと」 師匠の故桂枝雀からは「座布団から足がでないことがひとつのルール」と教わってきたというが、「そこを勝手に飛び出していこうと。飛び出す絵本みたいにやってみようという感じで、その表現ができるのも新歌舞伎座さんならでは。大劇場だからこそ出来る『何でもあり』が魅力なんです。だから、ほかの会場ではシンプルにやっていますよ(笑)」と、笑顔を見せる。 また、そんな特別な演出もファンにとっては楽しみのひとつになっており、「客席からぐぐっと近寄って来ているな、というのが肌感覚で伝わってきます。見方が違うんですよね。前のめりになって頷きながら聞いてくれるのがうれしい。お客さんには、何が始まるのかなと期待してもらって、最後にはご機嫌に帰ってもらえたら十分です」と、お客さんの「反応」にも期待を込める。 ◇ 『桂雀々独演会』は2024年2月24日に「新歌舞伎座」(大阪市天王寺区)にて上演される。チケットは5000円で、昼12時と夕方16時の2回公演。ゲストは昼夜とも桂文枝。トークもあり。 取材・文・写真/岩本