競争増すペットサプリ市場、高級化で差別化
コロナ禍を機にペットを飼う人やペットの健康を気遣う人が増え、イヌやネコを中心とするペット向けのサプリメントの需要が拡大している。5割近くの健食受託企業がペットサプリの受託製造に対応。今も問い合わせが増えているという。販売メーカーでは、新規参入により市場競争が激化する中で差別化を打ち出すために、NMNを配合したり、ジビエ肉に冬虫夏草を配合するなど高級化路線が目立ってきた。 今年4月に開催されたインターペットは、4日間合計で6万7022人が来場し、前年比7.2%増となった。主催者によると、来年はさらに規模を拡大していくという。会場には、犬や猫向けの食品や雑貨を中心に、サプリメントなど扱う企業も出展していた。韓国のペットサプリメントを扱うメーカーは今年度より日本市場に参入。米国のサプリメーカーは「腸活」をアピールするなど海外勢も日本のペット市場を注視している。 コロナ禍以降、生活に癒しを求めてペットを飼う人やペットの健康を気遣う人が増加。ペットフード協会によると、2023年の新規飼育頭数は、犬39万7000頭、猫36万9000頭と微減しているが、ペットサプリの開発は活発化している。富士経済によると、2023年のペットサプリメント市場は、前年比9.5%増の100億6400万円となり、増加傾向が続く。 昨年12月に本紙編集部は、健康食品の受託加工・製造企業を対象にペットサプリの受託製造の状況についてアンケートを行い、138社から回答を得た。その結果「ペットサプリの受託を行っている」と回答した企業は49%。さらに「受託件数が増えている」と回答した企業は57%となり、商品開発が活発化している様子がうかがえた。 各社が対応する剤型は、錠剤、粉末、顆粒、ハード・ソフトカプセル、ドリンク、ゼリー、三方分包まで多様。最近は、エサにかけるふりかけタイプなども人気だ。現在も、受託メーカーには、問い合わせが増えているという。 こうした中、新規参入や差別化によるペットサプリの高級路線が顕在化してきた。今年、再春館製薬所は、同社初となるペットサプリ「エイジングケアピューレ」を上市。1ヵ月分で5258円ながら想定以上に売れているという。 差別化を図ろうと高価な原料を配合するケースも目立つ。取材した九州の受託メーカーには、NMNの配合が増えてきているという。NMN配合の最終製品では1ヵ月1万円以上のペットサプリも見かける。イヌのストレスケアにCBD配合のサプリメントを開発するメーカーも見られる。 また、冬虫夏草を扱うメーカーにはジビエ肉に配合するために冬虫夏草エキス末が採用され、コンスタントに注目があるという。近年、ペットサプリの開発を強化するキノコサプライヤーの社長は「今や、1ヵ月3000円のサプリメントは平均的な価格帯。ペットを飼えるということは、それなりに生活に余裕がある人達。昔みたいに外に縄でつないで誰でも飼えるスタイルから、こだわりを持って飼う人たちが大半を占めるのでは」と話す。 ペットを飼うことは、飼い主のライフスタイルの一つであり、充実したライフスタイルを過ごすためにコストをかけるのは必然かもしれない。