民泊が「許可制」に?政府は違法な民泊を取り締まれるのか
違法な「民泊」は取り締まれるか?
現行法上は原則違法にもかかわらず、国内で広く行われてきた「民泊」。通常の旅館業法に則り「許可制」となれば、「違法」な民泊はより取り締まることができるようになるのか。 厚労省は「現状で民泊を開業している人の中には、許可が必要だと知らない人も多い。現状では『民泊』の実態把握が困難だが、許可を取る人が増えれば、それだけ実態把握は容易になる」としている。 しかし厚労省によると、「許可制」にした後も、違法な民泊への対処法は今と大きく変わらない予定という。無許可営業への指導は各自治体の保健所が行っているが、保健所の人手の問題もあり、現状では無許可営業の把握は基本的に苦情や通報のあった施設への訪問にとどまっている。今後、許可を得ない民泊業は「違法」であることが明確化する一方で、「民泊」への実態調査や取り締まりの強化がなされないなら、違法状態が放置されるという状況も生まれかねない。 国の「国家戦略特区」である東京都大田区では、旅館業法の適用を例外的に外して先月29日から「民泊」の申請受け付けを始めているが、大田区生活衛生課は「申請や問い合わせの対応に手一杯で、実態調査まで手が回らない状態」と話す。
あえて「合法な民泊」をうたう民泊業者も
そんな中、あえて「合法」であることを強調した民泊仲介業者も出てきた。東京都千代田区の「とまれる株式会社」は、「日本初の合法民泊サイト」と銘打った民泊仲介サイト「STAY JAPAN」を開設。国家戦略特区での「民泊」のルールに準拠し、先月29日に大田区で物件の営業許可を申請した。同社は大田区だけですでに約100件の申請可能な物件を用意しているという。 同社事業開発部は「既存の宿泊業界からも理解を得られる形で合法に『民泊』を行うことこそが宿泊業の幅を広げ、日本全体の観光業を活性化すると考えている。きちんと法律を守る人が損をするのはおかしなことで、国には違法な『民泊』をきちんと取り締まるよう、強く訴えていく」と話す。 厚労省と観光庁の検討会は今年秋までに「民泊」に関する最終報告書をまとめる予定で、許可を受けない「違法な民泊」をどのように解消していくつもりなのか、その方針が注目される。 (安藤歩美/THE EAST TIMES)