ソフトバンク・風間 原点回帰で制球磨く 育成で再出発「動画を見直し、高校の時のように投げたい」
ソフトバンク風間球打投手(21)が16日、福岡県筑後市のファーム施設で交渉し、契約を更改した。今オフに戦力外通告を受け、来季は育成選手として再契約。現状維持の推定年俸1000万円でサインした。世代屈指の剛腕と期待され、背番号「1」を託されたが、プロ3年間で1軍登板なし。甲子園を沸かせたノースアジア大明桜時代を思い出しつつ、3桁の背番号で再出発し、再支配下登録を狙う。 21歳の風間は育成選手契約を受け入れた。背番号は1桁から一気に3桁となる。3年間、「1」を背負った右腕は来季からの再出発へ、3年前の18歳の頃を思い返していた。 「今年、何回も(投球の)動画を見直してきた。もう一度、高校の時のように。今の自分が高校の時のように投げられるように」 まずは最速157キロを誇ったノースアジア大明桜(秋田)の風間を取り戻そうとしている。3年夏の甲子園でも、最速152キロを刻むなど世代屈指の剛腕で鳴らした。「球打」との希少な名前でも注目され、21年のドラフト会議で単独1位指名されて入団。多大なる期待のもとに球団からはエースナンバー「1」を託されていた。 鳴り物入りだったがケガに泣かされ、プロ3年間で期待に応えることはできなかった。1年目から右肘と右膝を故障。2年目は腰椎分離症に苦しんだ。3年目から中継ぎでウエスタン・リーグに初登板も6試合で5回、被安打4、3四球、4失点。防御率5・40。結果を出せないまま、同じ高卒ドラフト1位のルーキー・前田悠が先に1軍初登板初先発。「やっぱりポテンシャルとか何かを持っているんだ」。もどかしさ悔しさはあったが、認めるしかなかった。 結局、3年間で1軍デビューは果たせなかった。「濃い3年間でしたし、悔いが残る3年間でもあった。ここから切り替えて、体のキレを出すだけです」。今春の練習試合で試合開始から12球連続ボールで満塁になることもあった。自慢の直球は「打者のレベルが高く、直球だけでは合わされた。変化球の制球から修正しないと」。課題は見えている。 体重も18歳時に戻す。「体を大きくしてみたが合わなかった。絞って高校時代のキレを出したい」。入団時は84キロ。プロ入り後は15キロ増の100キロ近くまで育った。「走ったりウエートをしたりでコツコツと10キロ落としたい」。原点回帰だ。 希望に満ちあふれた18歳の頃。苦しんだ3年間はリセットする。「コントロールをつけながら上の舞台(1軍)で投げられたらいい」。再スタートする風間は再起を誓った。(井上 満夫)