【国際女性デー】「あなたは一人じゃない」~流産や死産を“タブー”にしない~【ロンドン子連れ支局長つれづれ日記】
参加者の一人、カトリンさんは去年1月、妊娠35週の時に息子のフリードリン君を突然の出血で失いました。 「ちょうどクリスマスの後だったかしら、妊婦を見たり、赤ちゃんを見たりした時、『なんで、あなたたちがここにいるのよ?』ってすごく嫌な気持ちになったの」 全員がそれぞれ気持ちを共有して、うなずきます。
■痛みは“波”のように…
数年前に流産を経験したシャリーンさんは、時と共に心の状態がどのように変わっていくかを語りました。 「そろそろ、息子の命日なの。5月7日よ。でも、なるべく考えすぎないようにしてる」 別の参加者が聞きます。「本当に疲れ果ててしまうことってある? それとも、だんだん痛みは薄れてきているの?」 「そうね。波のようって言ったらわかるかしら」 シャリーンさんは、手で波のようなジェスチャーをしながら語ります。 「最初はすごく荒い波が、次から次へとたくさん来るの。それから、月日が過ぎていくとともに、なだらかになって、時折、激しくなることもあるけれど、痛みの波の間隔がだんだんと広がっていくの。感情とどう向き合うかというやり方を学んでいくのね」 そして、カトリンさんの方に向きなおって続けました。 「あなたの気持ち、とってもよく分かるわ。あなたが今、妊婦を直視できないってこと。でも心配しないで。時と共に、悲しみはだんだんと癒えていくから」
■“同じ境遇”だからこそ
同じ経験をした者同士だからわかること――主催者のパトリツィアさんは、互いの状況について話し合うことで、自分自身の経験を見つめ直し、新たな気づきが生まれるといいます。 「それを経験した人でなければ想像できないこともあるんです。どれだけ寄り添う気持ちがあったとしても、経験者と同じではありません。妊娠した人を羨んだり、そういう話しづらいことでも、ここではオープンに話すことができます」 「最初の数回、ずっと泣き続ける人もいますが、タブーを破って話すことで、だんだんと、どう対処すればいいのか自分の道を見つけていく。それと、他の人の助けになることによって『誰かの役に立っている』『赤ちゃんの死は無駄じゃなかった』と思えるんです」