NTT法の見直しはなぜ始まった? 競合各社が“猛反発”している理由とは【イチから解説】
去る2024年4月17日に「日本電信電話株式会社等に関する法律の一部を改正する法律」、いわゆる「改正NTT法」が参議院本会議で可決され、成立することとなりました。 NTT法とはその名前の通り、日本電信電話(NTT)のあり方を決める法律。 前身が日本電信電話公社(電電公社)、要は国営の企業であるNTTは、現在も総務省が管轄する特殊法人という位置付けなので、NTT法によってさまざまな規定がなされています。 例えば「日本電信電話」という名前も、実はNTT法によって定められていたもの。今回NTT法が改正されるまで、NTTは企業名さえ自由に変えることができなかったのです。 そして注目されるのは、NTTが今回の法改正を前向きに受け止めているのに対し、KDDIやソフトバンク、楽天モバイルといった競合の通信会社が反対意見を表明していること。 実際2023年にはNTT法を巡って、NTTと競合との間で業界を二分する激しい議論が巻き起こっていました。
◆「防衛財源の確保」のために浮上したNTT法の見直し論
そもそもなぜ、いまNTT法を改正しようという話が浮上したのかといいますと、実は日本政府が防衛費を増やすため、いかに国民負担を増やすことなく財源を確保するかという、通信とは全く関係のない議論が発端となっています。 その財源確保の手段として浮上したのが、政府が保有するNTT株を売却すること。 「政府および地方公共団体」がNTTの株式をおよそ3割保有していることから、これを売却して財源を確保しようとしたのですが、政府はNTT法によって、NTTの株式を3割以上保有することが求められています。 そこでNTT株を売却するため、政府与党の自由民主党内でNTT法を改正しようという議論が立ち上がったわけです。
◆法改正でNTTが取り払いたい「3つの制約」
これを機としてNTT法の見直しを訴えたのがNTTです。 そもそもNTT法は、電電公社から民営化された1985年に定められた法律がベースとなっているもの。 その後NTTは、東日本電信電話・西日本電信電話(NTT東西)やNTTドコモなど複数の企業に分離・分割がなされたことから何度か法改正もなされているのですが、本質的な部分は40年以上前に定められた法律から大きく変わっていませんでした。 それが令和の現在になって事業上の制約となっている部分があるといいます。