ロシア支援の中国金融機関、国際ネットワークから排除 G7首脳宣言
イタリア南部プーリア州で開催されていた主要7カ国首脳会議(G7サミット)は15日、閉幕した。14日発表の首脳宣言によると、ロシアによる軍事物資調達を支援する中国の金融機関などに対し、国際金融ネットワークから排除することで一致。また、欧米で凍結されたロシア資産の運用益を活用し、ウクライナに対する500億ドル(約7兆8000億円)規模の資金支援の年内実施を目指すことが盛り込まれた。 【写真まとめ】日本を抜いた中国で生産されるEV 会議では、ロシアへの制裁の実効性を上げ、ロシアの侵攻を受けるウクライナに持続可能な支援を実行することに焦点が当てられた。 宣言では、G7によるロシア産原油の輸出制限をすり抜け、原油を密輸する「影の船団」の取り締まりを強化し、運搬に関与した個人、団体への制裁を科すことを明記。また軍事転用可能な物資について、中国にロシアへ供与しないよう求めた。親露国のイランに対しても、ロシアへの支援や中東を不安定化させる行為を停止するよう要求した。欧米が凍結したロシア資産約3000億ドルについては、ロシアがウクライナに与えた損害を賠償するまで、凍結を継続することで一致した。 パレスチナ自治区ガザ地区で続く戦闘については、イスラム組織ハマスの攻撃を非難する一方、イスラエルにも国際人道法の順守を要求。バイデン米大統領が発表した停戦案を全面的に支持し、人道支援物資の搬入を拡大するよう求めた。 気候変動対策では、二酸化炭素(CO2)の排出削減対策が講じられていない石炭火力発電について、2030年代前半に段階的に廃止することで一致。G7サミットの首脳宣言では初めて石炭火力の廃止期限が明記された。 また中国に対しては、電気自動車などの「過剰生産」を実施して市場をゆがめているほか、重要鉱物の輸出規制を行っていることに懸念を表明。G7は経済安全保障の一環として、サプライチェーン(供給網)の強化などに連携して取り組む。また、中国の東、南シナ海における威圧的な行動に「強い反対」を表明し、台湾海峡の平和維持の重要性を「再確認」する一方で、中国と「建設的かつ安定的な関係を追求する」と配慮も見せた。 人工知能(AI)については、AIの恩恵を活用し、リスクを管理するために協力を深化させるほか、労働分野におけるAIの利用に関する行動計画を立てることを決めた。 また、今回の会議では、前回の広島サミットに続き、新興、途上国との連携が強調された。特にアフリカから欧州への大量移民の原因となる貧困の問題に対し、結束して取り組むことで一致した。【バーリ(イタリア南部)宮川裕章、松井聡】