バントの名手の特訓実らず3位転落に阿部監督「ミスしているし、そりゃ勝てないですよね」
◆JERA セ・リーグ 巨人2―3中日(24日・東京ドーム) 巨人が中日に競り負け、3位に転落した。2点を追う2回、萩尾匡也外野手(23)の適時三塁打と岸田行倫捕手(27)の犠飛で同点としたが、7回に岸田の悪送球で勝ち越し点を献上した。3回以降、得点を奪えなかった打線はこれで8試合本塁打がなく、3年ぶりの9試合連続2得点以下。この間、打率1割台で一発のない主砲・岡本和真内野手(27)の復調が待たれる。 【動画】阿部監督が丸佳浩、長野久義に“右打ち”でノック 厳しい現実を受け入れた。中日投手陣の前に5回以降はヒットを打てず、2―3で敗戦。これで21年10月以来、球団ワースト2位タイとなる9試合連続2得点以下となった。阿部監督は「ピッチャーが頑張ってくれているんでね。野手が何とか打って点取ればいいだけなので。課題は明確ですよ」と前を向いた。 チーム全体で、開幕から3戦連続無失点だった涌井を序盤でとらえた。2点を追う2回、先頭の岡本和が右前安打で出塁。1死後に萩尾がスライダーを右中間へはじき返す三塁打を放ち、一塁から激走した岡本和が生還した。続く岸田も逆方向を意識して右犠飛を放ち、追いつくことに成功した。 だが、3回には2死満塁で萩尾が一飛に倒れると、4回には無死一、二塁の好機で赤星が送りバントを失敗。無得点に終わり流れを引き寄せきれない。そして7回に岸田の悪送球で勝ち越しを許した。指揮官は「もうバントもミスしているし、そりゃ勝てないですよね。そういう流れになっちゃってるからね」と現状を嘆いた。 得点を取るためにもがいている。全体練習前、普段は一塁ファウルゾーンで行うマシン相手のバント練習を、この日はマウンドに置いて実施。門脇や萩尾ら自主的に参加した9選手が、打席に入って実戦に近い形で行った。現役時代、バントの名手だった川相内野守備コーチが発案。「成功してもらうためにどうしたらいいか考えた時に、試合と同じ場所でやった方がいいと思って」と狙いを説明した。 そして苦しい時だからこそ、主将・岡本和の一発が欲しい。チームは9戦連続2得点以下で、本塁打は17年6月以来7年ぶりに8戦連続で生まれていない。一時は打撃3部門でトップに立っていたが、この9試合では34打数5安打、打率1割4分7厘とチームに歩調を合わせるように低迷。だが試合前練習では二岡ヘッド兼打撃チーフコーチにさまざまな角度からトスを投げてもらいフォームの修正に取り組むなど、本来の姿を取り戻そうともがいている。二岡ヘッドは「チャンスは作れているし、誰かがではなく、みんながプレッシャーがかかっている」と打線全体の現状を分析した。 この試合は生誕70周年を迎える「ゴジラ」とコラボし、かつての主砲・松井秀喜氏の映像を使った場内演出などがあったが、25日も行われる。その松井氏とともにプレーした指揮官が「3冠王を取れるんじゃないかと思っている」と認める岡本和のバットでチームを再び上昇気流に乗せたい。(井上 信太郎)
報知新聞社