俳優業を引退した米スター俳優の妻、夫が「認知症」と診断されるまでを振り返る。気づきにくい“ある変化”も明かす
「失語症」の診断を受け、2022年3月に俳優業を引退することとなったブルース・ウィリス(69歳)。そして先日、彼の妻であるエマ・ヘミング・ウィリス(46歳)が「前頭側頭型認知症(FTD)」と診断されるに至った、夫の初期の変化について口を開いた。 【写真】現在の妻であるエマと「幸せそうな笑顔」を見せるブルース・ウィリス
前頭側頭型認知症は正しく診断されにくい
2022年3月30日(現地時間)、ブルース・ウィリスが「失語症(脳の一部が損傷することによって、言語の表現と理解に影響を与える障害)」の診断を受けて俳優業を引退することをInstagramで発表したエマ・ヘミング・ウィリス。それから2023年2月には、「前頭側頭型認知症(FTD)」との診断を受けたことを報告した。 先日、『Town & Country』とのインタビューに応じたエマは、ブルースが前頭側頭型認知症と診断を受けるまでの変化について語った。 「ブルースは子どもの頃、ひどい吃音でした。それから大学に進学し、演劇の先生に出会い、そこで『君の助けになるものがある』と言われたのです。そのクラスでブルースは、台本を暗記すれば言葉が詰まらずに話せることに気づきました。それが彼を俳優の道へと後押しさせたのです」 またエマによると、「ブルースは常に言葉に詰まっていたが、隠すことが上手だった」ため、いつもと違う話し方をするようになったとき、それが深刻な病気の初期症状だとは思いもしなかったという。 「ブルースの話し方が変わり始めたときは、吃音の一部であって、いつもの彼だと思えました。こんなに若い人が認知症になるなんて、思いもしませんでしたから」 ブルースが前頭側頭型認知症であると正しく診断されるまでには数年を要し、この病気は多くの場合、誤診されたり、誤解されたり、あるいは完全に見逃されることがあるとエマは指摘している。
前頭側頭型認知症とは?
脳の前頭葉と側頭葉の神経細胞の損傷によって引き起こされる、前頭側頭型認知症。アメリカ国立老化研究所によると、他の認知症に比べて若年で発症する傾向があり、患者のおよそ60%は45歳~64歳であるという。異常な行動やコミュニケーション障害、歩行困難など、さまざまな症状が現れるとのこと。 さらに進行性の病気で時間とともに症状が悪化するため、患者の余命を予測することは困難であり、診断を受けて10年以上生きる人もいれば、診断後2年未満しか生きられない人もいるという。また、前頭側頭型認知症は症状が他の疾患と似ているため、診断が難しいことがあるそう。 そしてエマがいうとおり、アメリカ国立老化研究所も「前頭側頭型認知症は誤解されやすい」と説明している。前頭側頭型認知症の患者は、自分の行動やその他の症状をコントロールすることができないため、行儀が悪いと思われてしまい、家族や友人たちの怒りや対立を引き起こすことも。そのため、“病気であるという自覚がない”と理解することが重要だという。
前妻デミ・ムーアの娘たちもサポート
デミ・ムーアとの間に、 ルーマー・ウィリス、スカウト・ラルー・ウィリス、タルーラ・ベル・ウィリスの3人の娘がいるブルース・ウィリス。2009年にはエマと結婚し、メイベルとエヴリンが生まれ、計5人の娘の父親となった。 ブルースとデミの娘たちは、最初から一緒に介護をしてくれ、エマが彼を世話していることを尊重してくれているという。また感情を吐き出したいときには、いつもそばにいて話を聞いてくれると明かした。 「私たちが混合家族であることにとても感謝しています。みんなとても協力的で、愛情深く、いつも助けてくれるのです」
Harper's BAZAAR JP