中国・25年間発行し続けた地方新聞、海外華僑の注目を浴びる
【東方新報】中国・浙江省(Zhejiang)嘉興市(Jiaxing)の一地方・海塩県(Haiyan)澉浦鎮の帰国華僑が発行している新聞『家郷の声(ふるさとの声)』の2000年から現在までに発行された全部数が、「共和国印記(Gongheguo Yinji)」の史料カテゴリーに選出された。 「共和国印記」とは、中国海外帰国華僑連合会と国家文化遺産管理局が共同で立ち上げた、海外華僑が歴史的な資料や物語を通して国家への貢献を果たしたことを顕彰するためのものだ。 25年間一貫して地元で華僑連合会の活動を続けてきた趙栄華(Zhao Ronghua)会長は、とてもうれしく思った。 「この新聞は、わが連合会のスタッフが毎回力を合わせて編集しているものです。この全てが北京で展覧されることになりました。極めて光栄なことです」、趙氏は弾んだ声でこのように語った。 この地の華僑連合会は83年4月10日、澉浦鎮党委員会と鎮政府の支援で、現在の連合会の前身となる華僑グループ組織が設立され、その後「ガンプー鎮帰国華僑連合会」という正式名称になった。 新聞『家郷の声』は99年末に趙会長が創刊を提案し、00年1月に創刊号を発行した。当初は8K版だったが、17年に4Kの標準的なタブロイド新聞版にサイズアップし、内容もテキスト中心のモノクロ版から、テキストと写真の両方を使用したカラー版へと変化した。 創刊から現在まで合計228回発行され、国内外の人々に35万部を送付した。 この新聞は、故郷から遠く離れて暮らす海外華人と故郷とをつなぐ架け橋となってきた。25年間にわたり、地元のオリジナルコンテンツに焦点を当て、故郷が絶え間なく変化する様子、故郷に密接に関係する新しい政策や規制の解説、寓話や漫画、民話、地域的な魅力があふれる物語などを紹介してきた。簡潔で飾り気のない文章を選び、故郷の声を正確に伝えている。 時代に沿って15年にはSNSアプリ「微信(ウィーチャット、WeChat)」のアカウントと公式ウェブサイトを立ち上げ、海外華僑を含む「家郷の声・ウイーチャットグループ」を構築し、海外華僑や香港・マカオ・台湾地区の同胞に故郷のニュースをより迅速に伝えるようにした。 この小さな地方新聞のおかげで、国内外の華人距離が縮まった。 日本で20年以上も暮らしている張衛国(Zhang Weiguo)さんの食卓には、『家郷の声』を束ねた分厚い冊子が置かれている。そこには、創刊号から現在までの重要なページが含まれている。冊子の第一面を開くと、「澉浦の人びとの心の中の鐘楼」「杭州湾北岸の真珠-澉浦鎮」「郷土を愛した父の遺志を受け継ぐ」などの記事が見える。紙面は黄ばんでいるが、まだインクの香りがする。 張さんの心を支えてきたのは故郷の新聞『家郷の声』だ。彼は、創刊号から読み始め、毎号欠かさず注目してきた。配達が待ちきれずに、時々はオンラインで先に目を通したこともある。読むたびに、故郷の大きな変化に感動したという。 『家郷の声』は、海外で暮らす張さんのような華人たちに、故郷の声や風景を感じさせてくれる貴重な物なのだ。 25年間の試練や苦難を経て、澉浦鎮は変化し、新聞も変わった。『家郷の声』の編集作業も、次世代に引き継がれた。 編集者の一人・周(Zhou)さんは「今では、毎号発行のたびに数千件のアクセスがあり、読者からのコメントが頻繁に届き、自身の考えや提案が寄せられています。私たちは、全てのコメントを真剣に受け止めます」と話す。 「一つの新聞、一つの人びと、一つの町」、この小さな地方紙は今、時代を超えて中国内外の華人同胞の「人気の新聞」となっている。帰国した華僑にも海外に住む華僑にとっても、この新聞は皆が故郷を振り返る大事な拠り所となっている。(c)東方新報/AFPBB News ※「東方新報」は、1995年に日本で創刊された中国語の新聞です。