朝鮮人虐殺の背景に差別 東京・世田谷で学習会
1923年9月の関東大震災で、東京都世田谷区の烏山地域で起きた朝鮮人虐殺事件の記憶を語り継ごうと9日、地元で学習会が開かれた。目撃者らに聞き取りをした元高校教員丸浜昭さん(73)は「背景を学ぶことが重要」と述べ、朝鮮の植民地化で醸成された差別意識や敵対心があったことを強調した。 事件は23年9月2日夜に発生。丸浜さんらによると、「朝鮮人が井戸に毒を入れた」との流言を受けて結成された千歳村(当時)の自警団が村内の旧甲州街道で停車したトラックの朝鮮人を襲い、十数人に大けがを負わせ、少なくとも1人を殺害したとされる。 丸浜さんは都立千歳高(現・芦花高)の教員だった83年、住民ら6人に生徒と聞き取った内容を文化祭で発表した。証言者の中には朝鮮人を蔑視する感情があった旨を話す人もいた。 学習会では、日本統治下の朝鮮で起きた「三・一独立運動」(19年3月)で弾圧に関与した人物が、震災時に日本の治安当局でトップを務めていたと紹介。在郷軍人らによる民衆への影響も指摘した。