大谷翔平がドジャース記録トップ3を独占 「彼は特別枠」指揮官も脱帽の打撃
◆米大リーグ ナショナルズ2―11ドジャース(24日・米ワシントンDC=ナショナルズパーク) 【動画】あと少しでホームラン! 3本目二塁打にスマイルの大谷 ドジャース・大谷翔平投手(29)が24日(日本時間25日)、敵地・ナショナルズ戦に「2番・DH」で先発出場。メジャー初の1試合3二塁打で猛打賞をマークした。26試合でメジャートップの14二塁打は、年間87二塁打ペース。「走打二刀流」の今季は、MLB記録を93年ぶりに塗り替える可能性も出てきた。 二塁上で大谷は両手を左右に5度フリフリ。いつもより多めの“ヒップロックポーズ”を決め、ニヤリと笑った。6点リードの9回2死一、三塁。前夜に打球速度118・7マイル(約191キロ)の自己最速弾をお見舞いしたM・バーンズから左翼フェンス直撃の適時二塁打。今季初の3戦連発こそ逃したが、メジャー初となる1試合3二塁打で今季4度目の猛打賞。3安打2打点の大暴れで20安打11得点の大勝に貢献した。 初回1死から中堅右へ打球速度115・6マイル(約186キロ)の二塁打で連続試合安打を「9」、連続試合出塁を「22」とした。MLB公式サイトのサラ・ラングス記者によると、この打球が15年のスタットキャスト導入後、ド軍の最も打球速度が速い安打の第3位にランクイン。加入後26試合で球団1~3位を独占した。8回1死三塁では右中間を破る適時二塁打。持ち前の勝負強さも帰ってきた。 3割7分1厘まで上昇した打率、安打、二塁打、塁打、長打、長打率、OPSは依然として両リーグ7冠をキープした。特に14二塁打は断トツで、シーズン87本ペース。22年の自己最多30本はおろか、1931年にアール・ウェブがマークしたメジャー記録の67二塁打を93年ぶりに更新する可能性も出てきた。ロバーツ監督は「翔平は『特別枠』だ。彼の打球速度の平均を見たら、彼だけ別枠になるだろう」と脱帽した。 ツーベースは大谷の“原点”だ。渡米1年目の18年4月。日本人選手では松井秀喜(ヤンキース)以来2人目の3戦連発をマークした際、「本塁打を狙って打つ感覚は持ってない。二塁打を基準にして、その延長で本塁打だったり、打ち損じが安打という考え方」という独特の理論を披露していた。あれから6年が経過した今も「ホームランを狙う打席はない」と言う。二塁打が「打者・大谷」の軸になっている。 昨年9月に右肘手術を受けた影響で、今季は同じ状況だった19年以来の打者専念となっているが、この日の試合前に「前回は膝の方の不安が多かった(19年9月に左膝手術)ので。今回は肘以外は万全な状態ではあるので、そこが前回とは違うかなと思います」と明かしていた。キャンプから注力してきた走塁練習の効果で「足」は例年以上に動く。「走打二刀流」の24年にしかできない、新たな快挙が待っているかもしれない。(中村 晃大) ◆大谷に聞く ―23日(日本時間24日)のホームランの打球速度は自己最速という感覚はあったか。 「感覚的には人生の中でもトップクラスじゃないかなと思います」 ―投球の準備がない分、打撃に集中できる側面も。 「時間的に余裕があるのはそうなので、体調が管理しやすいというのはその通りだと思いますけど、あんまり考える時間が長すぎても良くないのかなと思うので。基本的には練習時間だったりとか、データを見る時間は例年と一緒にしています」 ―ロバーツ監督は大谷がストライクゾーンのスイングをいろいろ調整していると言っていた。 「監督とも、打撃コーチもそうですけど、毎日話しますし、基本的には打撃コーチは動作的な問題がメインですけど、監督とはアプローチの面で話して。自分ももちろん納得する部分もありましたし、早い段階でそういう対策を打つことで、今後もプレーしやすくなるという話はしていたので」 ―ここ数週間、クラブハウスで大谷の存在感を前より感じる。通訳が代わったことで何か変わったのか。 「どうなんですかね。新しい通訳が素晴らしいんじゃないですか(笑い)」 ―水原容疑者の件で経済的なことでマイナスがあった。親友がいなくなったことで何か感じるものは。 「まだ調査自体は続いてるので、全部が終わったというわけではもちろんないですし、失った…。でも、それ以上にチームメートもチームもそうですけど、この件でサポートしてくれている人たちがたくさんいるので、むしろそっちの方がありがたいなというか。そういうふうに感じる場面の方が多いかなと思います」 ―去年の打撃がすごく良かったと。去年に戻ったのか、一つ段階は進んだのか。 「段階は進んでるとは思いますね。上に行けば行くほど、伸び率みたいなものは当然下がってくるとは思いますけど、細かい部分というのはちょっとずつ上がってくるものだと思うので。もちろん変える部分もありますけど、継続して取り組んで伸ばしていくという部分もあるので」 ―シカゴではクリケットバットで調整していたと。他に新しい試みは。 「練習の一環ではあるので、過度にやりすぎることで逆に良くなかったりとか、それはバランスの問題なので。打てない要因がここにあるんだったら、この練習みたいな。そのバランスの感覚が大事かなと思います」
報知新聞社