【漫画家に聞く】ウツ病引きこもりニートの27歳女性が婚活に奮闘 漫画『ウツ婚!!』に勇気づけられる
生きるのが辛い人たちにエールを送る漫画がある。ウツと摂食障害に悩み、「死にたい」が口癖の90キロの女性が、医者から婚活を勧められたのをきっかけに大奮闘する『ウツ婚!! 死にたい私が生き延びるための婚活 』(講談社コミックプラス、原作:石田月美、漫画:磋藤にゅすけ)だ。 漫画の主人公である石田月美は原作者であり、同名エッセイ(晶文社刊)の作者でもある。同エッセイは前後編構成になっており、前半では婚活の奮闘を、後半ではウツに苦しみながらも前へ進む人たちへの有益すぎるアドバイスを綴っている。 今回紹介するコミカライズ版は、その前半を漫画化したものになる。ウツという個々人で症状が異なる難しい病をわかりやすくビジュアライズ化した『漫画版・ウツ婚!!』はどのような苦労や工夫を経て生まれたのだろうか。漫画家・磋藤にゅすけ氏に話を伺った。(聞き手:中川真知子) ーー摂食障害や対人恐怖症に悩む方を漫画化するのは苦労もあったと思います。最初に原作の『ウツ婚!!』を読んでどう感じましたか。 磋藤にゅすけ(磋藤):すごく愛に溢れていて優しい本だと思いました。前半物語編はサービス精神に溢れていて、少し自分を下げ過ぎなんじゃないかと思ってしまうくらいの自虐も含めとても楽しく拝読させていただきました。 後半HOW TO編は細やかな生き抜くためのメソッドがふんだんに詰め込まれていていました。生きるてるのが苦しいとき、漠然とした励ましの言葉を投げかけられても「じゃあどうすればいいいってんだよ」って思います。そういう時に必要なのは「具体性」だと思っています。HOW TO編には具体的になにをすべきか、どういう考えをすべきかなどがとても細やかに書かれていました。心から読者の人に生き延びて欲しいと思って書かれたんだなと感じました。 物語編には膨大な量の注釈があり、石田さんの人となりを知るのに大変楽しい内容になっているのですが、のちに伺った時に、物語に没入してフラッシュバックを起こしてしまわないように装置として注釈を入れてあると聞き、頭が下がる思いでした。徹底して優しさに溢れている一冊だと思いました。
中川真知子