中国・生薬アイスが売り切れ続出、 漢方コラボ食品流行のゆくえ
【東方新報】最近、「生薬アイス売り切れ」「生薬アイス1個38元(約774円)」などのワードがSNSを賑わせている。 「生薬ミルクティー」「生薬コーヒー」「生薬パン」「生薬アイス」など、まさに「中国医学」がジャンルを越えてさまざまな食品とコラボされ、若者の間で新たな健康トレンドとなり始めた様子がうかがえる。 「同じ値段の普通のミルクティーを飲むのに比べて、少し健康的な感じがします。それにネットで話題になっているから、新しいものを試すのも楽しいです」、取材に応じた北京市の大学生のコメントだ。 「生薬ミルクティー」と「生薬コーヒー」は、健康と文化的アイデンティティと新体験を求める若者の心をとらえているようだ。 これらの商品の宣伝フレーズは、伝統的な中国医薬の健康効果をうたいつつ、若い消費者が中医薬に抱いている固定観念を打ち破るもので、見た目や味もあいまって、若い消費者層の関心を集めることに成功した。 北京の中医薬ドリンクショップの店員の話によると、店の漢方処方の飲み物は、その中医薬ブランドの専門の医師が研究し調合したものだという。材料と調合の割合は個別にしっかりと研究されたもので、異なる調合の飲み物はそれぞれ異なる効果を発揮するという。 しかし、店員はまた「中医薬飲料の健康効果は人によって違います。効果を感じる人もいれば、何も感じない人もいるし、飲んだ後に不快に感じる人もいます。個人の体質にもよりますね」とも指摘する。 ほとんどの人は、全く苦いだけの薬草を飲むのは苦手なため、商品はそれぞれ成分や味を慎重に調整して飲みやすくしているという。 こうした新しい中医健康食品は、若者層だけでなく年配者の中にも歓迎する人がいる。 それでは、果たしてこれらの中医コラボ食品類は本当に健康に効くのだろうか? 江蘇省人民医院(Jiangsu Province Hospital)内分泌科の顧経宇(Gu Jingyu)主任医師は「中医食品は、適切な実証と識別を行った後に消費されなければならない。さもなければ、かえって人体に害を及ぼす可能性がある」と強調している。 顧医師は「薬効があると称する薬草を加えて、中医薬という旗印を掲げるのは、非常に無責任なことだ。消費者が服用後に効果がないと感じたり、あるいは不不快感があったりすると、その中医薬の「責任」のように思われてしまい、漢方薬に対する一部の人びとの誤解が深まることにもなる。そのため、薬膳効果の過剰で無責任な広告は、中医薬にとって損害となる」と指摘する。 顧問医師は、中国医学は深遠で重厚な文化的基盤を持つ伝統的な医療体系で、エビデンスに基づいた治療に重点を置いており、本来は「薬」であるものを「食品」として取り扱い、医学的な管理なしの濫用には大きなリスクが伴うと警告している。 それではこの新しい流行をどう見るべきか。 国務院研究室、大学、各界の研究機関が集合するハイエンド情報組織「国興智庫」の朱峰(Zhu Feng)董事長は、中国新聞社(CNS)のインタビューで「これは飲食業界と飲食文化における一種の革新であり、新しい試みと探求に対してオープンな態度で接するべきだ。政策の許す範囲内で、この革新的な試みは許容され、奨励されるべきだ。ただしその発展の過程で明らかになった問題にはタイムリーな規制と標準化で対応する必要がある」との見解を述べた。 朱氏は、中医薬食品の流行は本質的にはマーケットの行動であり、食品のイノベーションの一つだ。伝統的なキュウリ、ジャガイモ、米などの通常の食材に、漢方的、健康的な要素の要素を加えた食品に属すものだと考えている。 それでは、今後これら「革新的食品」はどのように発展していくべきなのか? これに対して朱氏は「産業を運営する者の立場で、我々は誇張された宣伝で消費者の誤解を防ぐため、正確で明確な商品の位置付けをする必要がある。特に医療面での効能を過度に宣伝してはならない。また薬膳料理(食品)を医療品というよりも、むしろ文化的な付加価値があるものとして客観的に捉えることも重要だ。本質的には食品だという特性を的確に位置付け、薬や保健品としての位置付けにならないことが重要だ」との考えを示している。(c)東方新報/AFPBB News ※「東方新報」は、1995年に日本で創刊された中国語の新聞です。