『ブギウギ』水上恒司“笑顔”のクランクアップの裏側 愛助として最後の名演をCPが称賛
NHK連続テレビ小説『ブギウギ』が現在放送中。“ブギの女王”と呼ばれる笠置シヅ子をモデルに、大阪の銭湯の看板娘・花田鈴子=福来スズ子(趣里)が戦後のスターへと上り詰めていく姿を描く。 【写真】愛助(水上恒司)が亡くなったことを知って茫然自失のスズ子(趣里) 第18週、愛助(水上恒司)が大阪の病院で懸命な闘病生活を送る一方で、妊婦のスズ子は羽鳥善一(草彅剛)のもと「ジャズカルメン」の稽古に励んでいた。「公演中に東京に戻ります」。愛助はそう手紙にしたためるが、2人は離れ離れのままステージの幕が開く。 制作統括の福岡利武は「『ジャズカルメン』は恋の歌ですし、趣里さんは力強さも含めて、すごくカッコよく演じてくれました」と印象を述べ、「歌も、ステージも、ダンサーの方たちも、演出もすごく良くて。(舞台演出の)荻田浩一さんと(音楽担当の)服部隆之さんによって、魅力的なカルメンに仕上げていただいきました」と賛辞を送る。 「お腹が大きいので、どのくらい動けるのか、というところはみんなで話しながら、フリを作っていきました。かっこいいけど、お腹も大きい。スズ子らしさもあり、素敵な場面になったんじゃないかなと。ダンサーは荻田さん推薦の方々で、荻田さんも『すごくいいダンサーの方が参加できることになりました』と喜んでいらっしゃいました」 舞台上のスズ子がまとっていたのは、ボディラインの出る華やかなドレス。福岡は「お腹が大きいことがわかりつつ、リアルさも出さなければいけない。色合い、素材感も含めてしっかりと作り込みましたので、自然な感じに仕上がったんじゃないかと思います」と自信を見せる。 また、演じる趣里については「ついつい元気よく踊ってしまいがちなので、お腹を意識して、というところだと思います。趣里さんはバレエをやっていらして、『カルメン』はバレエの演目としても有名ですし、曲自体もよく知っているとおっしゃっていましたので、楽しく演じていただけたのではないでしょうか」と語った。 公演初日となった第82話では、およそ2分にわたってステージを描写。翌第83話でも、「ジャズカルメン」の千秋楽がたっぷりと描かれたが、その狙いについて福岡は「好評を博しながら公演を続けている姿と、愛助を待つ気持ちの“静と動”の表現でもありますし、スズ子のステージが素敵であればあるほど、愛助の“見ることができない想い”を描くことができる。2人の距離を描くためにも、歌をしっかり見せることを意識しました」と説明した。 「ジャズカルメン」の閉幕から3カ月。愛助の病状は悪化の一途を辿るが、出産予定日を控えたスズ子は愛助のもとに向かう許可が下りず、もどかしい日々を過ごしていた。そして第85話。愛助は最後の力を振り絞り、愛するスズ子に手紙を残そうとペンを握る。 「水上さんは『ここが最後だ』という気持ちも入っていましたし、集中している印象が強かったですね。今までのスズ子に対する想いの積み重ねがあったので、自然とお芝居ができたのではないかと思いますし、すごくいいシーンになりました」 そんな愛助を見守る母・トミを演じる小雪もまた自然体で撮影に臨んだようで、福岡は「こうしようああしよう、ということはなく、死にゆく息子を見て涙が込み上げたと。本当に自分の息子のように感じて、自分の中の葛藤を含めて、自然とそういう気持ちになったとおっしゃっていました。それは、これまで水上さんとの関係をうまく重ねてこられたからこそだと思います」と話した。 なお、水上のクランクアップは同シーンではなく、「スズ子と旅行で訪れた湖畔の場面だった」との裏話も。病室での撮影には様々な感情を抱えて臨んだ水上だが、「クランクアップ自体はとっても明るく、楽しく、気持ちよく終えていただけました」と振り返った。 愛助の詳しい病状を知らずに出産を迎えたスズ子。あまりに辛い状況だが、スズ子の未来に光が射す、『ブギウギ』らしい展開に期待したい。
nakamura omame